再び人民元論争

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中国の中央銀行である中国人民銀行は6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。

しかし、初日の終値は0.44%高と変動幅の上限に近いものとなったが、その後は政府が介入した結果、非常に緩やかな変動となっている。

このため、人民元をめぐる論争が再燃した。

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中国は2005年7月21日に2.1%の切り上げを発表、その後、管理フロート制を取ってきたが、2008年夏の金融危機以降、レートを1ドル≒6.8人民元でほぼ固定してきた。

米国は中国に対して元切り上げを要求してきたが、温家宝首相は「中国は自主性、制御可能性、持続性という原則に基づき、人民元為替相場メカニズム改革を穏健に推進する」と表明し、元切り上げ要求を拒否した。

中国にとっては大幅なユーロ安で欧州向けの輸出に影響が出ており、世界的な経済危機のなかでのドルに対するレート固定は国際経済に貢献しており、これ以上の元の切り上げは困難とした。

これに反発して民主党のCharles Schumer上院議員らは3月16日、中国など為替レートの不均衡を是正しない国への制裁措置として、輸入品に反ダンピング関税を課す「通貨為替監視法案」を提出すると発表した。

Debbie Stabenow上院議員は「通貨が過小評価され米国への輸入品が安くなるのは公正ではない」とし「中国が自分で是正しないなら強制するまでだ」と述べた。

2010/3/24 米国、人民元切り上げを要求 

多くの西側諸国のエコノミストは、人民元が25-40%過小評価されているとの見方を示している。

中国の中央銀行である中国人民銀行はG20サミットを控えた6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。

世界的な経済危機の中で人民元の対米ドル相場の安定を維持したことはアジアと世界経済の回復に寄与した。
最近の世界的な金融情勢の安定化を踏まえて今後は通貨バスケットを参考として市場の需給動向を人民元相場に反映させる。
中国の国際収支は均衡に向いつつあることから、大幅な為替相場修正の根拠は無いものの、弾力性の拡大は容認される。
銀行間市場における為替取引中心レートからの日中変動幅に変更はない。
(対米ドルの日中変動幅は同行の発表する中心レートから上下0.5%以下)
  * 為替取引中心レート(基準値、中間値)は、中国人民銀行が取引開始前に、前日相場などを勘案して発表するもの。

しかし、初日の終値こそ基準値比 0.44%アップと上限に近いものとなったが、その後は政府が介入した結果、非常に緩やかな変動となっている。
G20サミットを控え、人民元高の実績をアピールすると同時に、大幅な切り上げは容認しない姿勢も示した。

このため、米国では再び、更なる人民元切り上げを求める圧力が強まった。

オバマ米大統領は6月24日、人民元相場の弾力化を「初期の動きとしては評価できる」としつつ、「不均衡是正に十分か、評価を下すのは時期尚早だ」と中国にクギを刺した。

米製造業団体の幹部は、「中国の発表はG20を前にした、また議会からの圧力を避ける策略でしかない」と指摘、議会が引き続き、中国に圧力をかけていくことを望んでいると表明した。 

民主党のCharles Schumer上院議員は中国の通商政策に関する公聴会で「中国には対応を迫らない限り何も変わらない」と述べ、人民元の過小評価を政府による補助とみなす法案について近く上院で採決を目指す考えを示した。

同氏や他の議員は、中国の為替政策が同国の輸出に不当に利益をもたらしているとみている。

米上院財政委員会のMax Baucus委員長(民主党)も中国の対応は遅すぎるとし、2007年に策定した人民元改革を促す為替法案を再提出する考えを示した。

これに対し、中国外交部の秦剛報道官は6月24日の定例会見で、人民元切り上げでは中国と米国の貿易不均衡は解決しないとし、対中ハイテク製品輸出規制を緩和すべきだとした。

人民元の切り上げで中米貿易 の不均衡することもできないを解決することはできないし、米国が現在抱える国内問題ー低すぎる貯蓄率、ローン消費、失業などーを解決することもできない。
中国は、米国がひたすら非難し、圧力を加えるのではなく、もっと自国の経済構造に原因を求めることを望む。

人民元相場は中米貿易の不均衡を生み出す主要因ではない。
貿易不均衡はグローバル化を背景とした国際分業調整の結果であり、中米貿易の不均衡を生み出し ているもう
一つの主要因は、米国による対中ハイテク製品輸出規制だ。

中米の経済貿易関係は両国にとって重要であるのみならず、世界にとっても非常に重要だ。
中国は米国との経済貿易関係の発展において相互利益・ウィンウィンを重要な原則としており、強く意図して巨額の対米黒字を追い求めてはいない。

ここ数年来、われわれは一貫して積極的な措置を講じ、米国からの輸入を拡大してきた。
これらの措置は顕著かつ効果的なものだ。
米側が中国側と共に、両国の経済貿易関係の均衡的な発展を促すことを希望する。
人民元問題を政治化し、ひたすら圧力を加え、非難し、さらには保護貿易主義的措置をやたらと発動するやり方には少しの道理もない。

米国は、航空機や航空機用エンジン、コンピュータソフトウェア、レーザー装置、光ファイバー、情報通信機器などハイテク製品の中国向け輸出について、中国が軍備増強のために利用しているとの懸念から、政府の許可を必要としている。

中国は、米国製品を輸入したくても輸入できないのが貿易不均衡の重要な原因としている。

米国も最近、世界各地で緩和が進んでいる現状ではこの規制は意味をなさなくなったとして、輸出規制政策を再検討している。

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オバマ米大統領と中国の胡錦濤国家主席は6月26日、G20を前にカナダのトロントで会談した。

オバマ大統領は人民元の弾力化方針を歓迎しつつも、「具体的にどう実行されるかが重要だ」とし、「世界経済の安定成長に向けて中国の果たすべき役割は多い」と一層の内需拡大などを求めた。

これに対し胡主席は「対米貿易黒字を追求するつもりはなく、中国は以前から米国からの輸入を拡大する措置をとっている」と主張し、人民元の切り上げ圧力をけん制する立場を示した。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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