米財務省、中国の為替操作国認定を見送り

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米財務省は7月8日、主要な貿易相手国・地域の為替政策に関する為替政策報告書を公表した。

中国については人民元相場の弾力化方針を評価し、中国の為替操作国への認定は見送った。
ただ、人民元は「過小評価されている」と指摘、「注意深く定期的に人民元の切り上げを監視していく」とした。

オバマ大統領は6月下旬のG20後の記者会見で、中国の切り上げ姿勢は、「3か月ではっきり分かる」として、期限を明示した上で中国側に対応を迫った。
10月の次回の報告書発表までの人民元相場の動きを見定めた上で、切り上げペースが不十分なら、為替操作国に認定することも辞さない構えとみられる。中国を為替操作国に認定すれば、正式な2国間協議に移ることになる。

財務省は、意図的に為替相場を操作していると判断した国を「為替操作国」に認定する。
認定は一方的なものだが、被認定国は米国のみならず各国から通貨切り上げを政治的に強く求められることになる。

米国が同報告書において中国を「為替操作国」と認定していたのは、1992年春季から1994年春季までの約2年間だけ。当時の中国は人民元を1ドル=5元台から8元台に切り下げていた最中。

財務省は議会に対して半年に1度、外国為替相場についての状況を説明する報告書を提出することとなっている。当初は4月15日発表の予定であったが、中国の動きを見るため、延期していた。

対中強硬派のシューマー上院議員(民主)は「報告には失望した」と指摘、人民元の過小評価分に相殺関税をかける法案などが必要との考えを示した。

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中国は2005年7月21日に2.1%の切り上げを発表、その後、管理フロート制を取ってきたが、2008年夏の金融危機以降、レートを1ドル≒6.8人民元でほぼ固定してきた。

中国の中央銀行である中国人民銀行はG20サミットを控えた6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、 2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。

しかし、初日の終値こそ基準値比 0.44%アップと上限に近いものとなったが、その後は政府が介入した結果、非常に緩やかな変動となっている。

2010/6/28  再び人民元論争

7月9日時点では終値は6.7735ドルで、6月18日比で0.79%しか元高になっていない。

基準値は、中国人民銀行が取引開始前に、前日相場などを勘案して発表するもので、毎日の上下限はこれの0.5%。


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