韓国、「二次電池の競争力強化に向けた統合ロードマップ」を確定

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韓国政府は、二次電池(充電式電池)を次世代の基幹産業に育てる2020年までの長期計画をまとめた。

知識経済部が、企画財政部や教育科学技術部、グリーン成長委員会(*)と共に、「二次電池の競争力強化に向けた統合ロードマップ」を確定し、7月13日に李明博大統領が出席した第8回グリーン成長委員会で報告、李大統領はリチウムイオン電池など新エネルギー分野に関し「我々の技術で世界市場に挑まねばならない」と強調した。

グリーン成長委員会は、国全体のグリーン成長戦略を策定する大統領直轄組織で、2009年2月に設置された。
2010年4月には低炭素グリーン成長基本法が施行された。地球温暖化対策の推進と環境科学技術産業(グリーン産業)の育成を関連付けて規定し、これを経済成長の新たなけん引力にすることを目指すもの。

二次電池は市場規模が2020年には現在の6倍以上(780億ドル)に急成長する見込みで、携帯電話やノートパソコンなどの小型家電製品から、最近は電気自動車や大規模エネルギー貯蔵用へと拡大され、中大型市場は小型市場より10倍以上早いテンポで膨らんでいる。

二次電池では日本が世界市場の43%を占め、その後を、韓国(32%)と中国(21%)が追っているが、韓国のオリジナル技術力や素材技術力は日本の30%と50%に過ぎず、その格差は大変大きい。

知経部では、「韓国の小型二次電池の競争力は世界トップの日本と同様だが、中大型分野の力量は相対的に弱い」と言い、「中大型市場を狙ったR&Dに、4~5兆ウォンを投資する予定だ」としている。

また、「二次電池の素材分野の企業は、そのほとんどが零細企業で、R&Dの環境は劣悪だ」と言い、「二次電池素材の外国依存度が80%を上回っている」と指摘している。素材全体の韓国の国産化率は20%以下(特に負極材の自給率は 1%)にすぎず、大部分を日本からの輸入に頼っている。

このため、政府は今後10年間、二次電池分野の修士・博士級人材を1,000人ほど育成し、この一部を、技術革新型中小・中堅企業に派遣する。二次電池分野のグローバル素材企業を10社以上育成し、世界市場のシェアも50%へと引き上げる。

各大学の課程拡大や専門大学院の新設を検討する
リチウムイオン電池の重要部材である正極材や負極材などの技術者も育てる。

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自動車向け二次電池では韓国企業が受注活動を進めている。
日本がハイブリッドカー用ニッケル水素電池に集中する間に韓国企業はリチウムイオン電池に勝負をかけた。

LG化学は電気自動車用バッテリー分野で世界1位で、これまで韓国の現代・起亜車と電気自動車メーカーのCT&T、米国のGMと自動車用部品メーカーのEaton Corporation、中国の長安汽車、スウェーデンのボルボの6社と電気自動車用バッテリー供給契約を結んでいる。

LG化学は20091、「2010年に発売予定のGMの電気自動車 シボレー・ボルトに搭載されるリチウムイオン・ポリマー・バッテリーを供給する唯一の企業として選ばれた」 と発表した。

2009/1/17 LG化 学、GMに 電気自動車用バッテリー独占供給へ

本年4月にはスウェーデンのボルボに電気自動車(EV)の基幹部品であるリチウムイオン電池を供給する契約を結んだことを明らかにした。バッテリーセルだけでなく、制御システム(BMS)などさまざまな部品で構成された全体バッテリーパック形態で行われる。

      2010/4/29 LG化学、ボルボに電気自動車の バッテリー供給

Ford Motor は713、2011に生産販売を開始する Focus modelの電気自動車用のリチウムイオン電池をLGの子会社Compact Power から購入すると発表した。

付記

9月30日、LG化学は、ルノーが推進している「純電気自動車プロジェクト」のリチウムイオン電池供給企業に最終決定したことを明らかにした。
LG化学はルノーが2011年から量産する電気自動車にリチウムイオン電池を供給する。

ルノーは2012年までに50万台程度の電気自動車量産能力を確保するため、世界各地に生産工場を建設している。

LG化学は2009年6月、ソウルの 90km南方の忠清北道梧倉産業団地の梧倉テクノパーク730百万ドルを投じる電気自動車用バッテリー工場の起工式を挙行した。

2010年上半期中に工場を完成させ、現代自のアバンテ・ハイブリッドと起亜自のフォルテ・ハイブリッド向けにバッテリーを供給、11月からはGMの電気自動車、シボレーVOLTにもバッテリーを供給する。

LGは本年3月、同社の米国子会社でリチウムイオン電池メーカーのCompact Power Inc.(本社ミシガン州Troy)がミシガン州Holland303百万ドルを投じてリチウムイオン電池工場を建設すると発表した。2012年稼動の予定。
A123 Systems(工場はデトロイト近郊のLivonia)とJohnson Controls-Saft (工場はHolland) と組み、プラグインハイブリッドベースで20万台分(E-REV=充電用エンジン搭載車ベースでは5万台分)を生産する。
オバマ政権の
24億ドルの補助金から151百万ドルを受ける。

同工場では715日に起工式を開催するが、オバマ大統領はこれに出席し、祝賀スピーチを行う予定。
米国の大統領が外国企業のイベントに参加すること自体、異例なことで、特に韓国企業の工場を訪問するのは初めて。

Samsung SDI とドイツBosheは合弁会社SB LiMotiveを設立、2009年9月に蔚山市で起工式を行った。5億ドルを投資する。
同社はBMWのEV用電池の単独供給企業として選定された。2010年から試作品用リチウムイオン電池を一部供給し、13年から20年まで本格的な供給を行う。

米部品大手Delphi と2012年からの10年間の納入契約も結んだ。


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