中国国家発展改革委員会(NDRC)は7月30日、スペインの石油・石油化学メーカーCEPSAの子会社ERTISAの上海ケミカルパーク(SCIP)でのフェノール/アセトン計画を承認した。
130百万ドルを投じて、年産25万トンのフェノールと15万トンのアセトンを製造する計画で、ERTISAが単独で投資する。
環境面の承認は2008年に受けており、当初は2009年スタートを予定したが、グローバルな経済危機で延期されていた。
2008/8/19 スペインのCEPSA、上海でフェノール/アセトン生産を計画
Sunoco/UOP法を導入し、原料のキュメンは当初、韓国・日本などから輸入する。
ERTISAは将来的にはキュメンを、シノペックと上海ケミカルパーク開発公社(SCIP Development Company) がSECCOの隣りに建設を計画している10百万トンの製油所と100万トンのエチレンのコンプレックスから供給を受ける計画だが、このコンプレックスはまだNDRCの承認待ちの状況にある。
製品のフェノールとアセトンは同じ上海ケミカルパークのバイエルのポリカーボネート用に供給する。
バイエルの能力はBPA 20万トン、PC 20万トンとなっている。(当初PC 10万トンであったが、その後倍増した。)
(当初、上海クロルアルカリが10%出資していたが、現在はバイエル100%となっている。)
Ertisa はスペインのHuelvaに年産60万トンのフェノール、37万トンのアセトンの能力を持つ。
同社は2008年6月にBayerとの間でフェノールとアセトンの供給契約を締結した。契約数量は明らかにされていないが、バイエルの欧州、タイ、中国の工場に供給する。
バイエルのPC拠点
立地 PC能力 スペインからの輸送 Uerdingen, Germany 330千トン AntwerpのLBC-CEPSA Tank Terminalsまで船輸送
タンクからパイプライン、貨車輸送Antwerp, Belgium 240千トン Map Ta Phut, Thailand 270千トン 船輸送 Shanghai, China 200千トン 船輸送
本計画完成後は上海工場からの供給に切り替えBaytown, USA 350千トン (契約対象外) 合計 1,390千トン
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上海ケミカルパークでは三井化学とシノペックのJVの上海中石化三井化工が年産25万トンのフェノールと15万トンのアセトンを建設することを決めた。2009年12月に検討覚書を締結し、検討してきたもので、8月4日に発表した。
上海中石化三井化工は又、シノペック上海中石化高橋分公司から上海ケミカルパークで稼動中のフェノール(12.5万トン)、アセトン(7.5万トン)と原料キュメン(162千トン)のプラントを引き継ぐ。
これらは同地区にある上海中石化三井化工の年産12万トンのBPAプラント向けに供給されている。
(BPAは浙江省嘉興市の帝人化成のPC 100千トン用に供給されている。)
上海中石化三井化工 1. 所在地 上海市・上海ケミカルパーク 2. 出資比率 三井化学 50:シノペック 50 3. 生産能力
フェノール アセトン BPA 今回新設 25万トン 15万トン 既設(上海中石化三井化工) 12万トン 既設(旧 上海中石化高橋分公司) 12.5万トン 7.5万トン 合計 37.5万トン 22.5万トン 12万トン 4. 新プラントプロセス 三井化学技術 5. 営業運転開始時期 2013年第2四半期
2009/11/4 三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意
注)シノペック上海中石化高橋分公司は上海の高橋地区が本拠で、ここにフェノール/アセトン第一工場(年産6万トン)を持つ。
上海ケミカルパークにある第二工場を上海中石化三井化工に譲渡した。
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中国ではこのほかに、イネオスとシノペックが南京ケミカルパークでのJVを検討中で、能力はフェノール40万トン、アセトン25万トン、原料キュメン55万トンとなっている。
2010/1/7 INEOSとシノペック、南京にフェノールJV設立を検討
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