中国の心臓血管治療の漢方薬が7月にFDAの第2相臨床試験に合格、早ければ2013年にも米国で販売を開始する。
天津に本拠を置く天士力製薬(Tasly Pharmaceutical)が8月7日に北京で発表した。
合格したのは同社の心臓血管治療の復方丹参適丸(Compound Danshen Dripping Pill)で、米国の15箇所のセンターで3年間にわたり第2相臨床試験(有効性・安全性等の試験)が行われ、良好な結果が得られた。
復方丹参適丸の成分は丹参、三七、冰片。
丹参:シソ科の植物の根を乾燥したもの
三七(田七): 中国人参(朝鮮人参と同じウコギ科だが、姿・形・効能が異なる)
冰片(竜脳):フタバガキ科の植物の樹脂を加工して結晶化させたもの
漢方薬としては初めて第2相臨床試験の合格となる。FDAは第3相臨床試験入りを承認した。
同社では今後12~18ヶ月で全世界で50~70箇所の臨床試験センターをつくり、第3相臨床試験を行う。
これが終わると、製造販売の承認申請となる。
復方丹参適丸は中国では昨年に10億人民元(148百万ドル)の売上げがある。
これまでに、カナダ、ロシア、韓国、ベトナム、シンガポール及びアフリカの数カ国で承認されている。
主に狭心症や冠動脈性心疾患の治療に使用されており、同社によると世界で毎年10百万人以上の患者がこれを服用している。
今回FDAの試験に合格したことは、欧米などの医薬品市場に漢方薬が進出するきっかけになるとみられている。
これまでは、東洋と西洋の文化および法規面の違いと成分の複雑さから漢方薬は西洋市場では医薬品として扱われなかった。
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天士力製薬は天士力グループ(Tasly Group) の中核的企業で、1994年5月に設立された。
天津北辰科学技術園区にあり、社員数は2千人。漢方及び化学医薬品のほか、ヘルスケア製品、機能食品、化粧品などを製造販売している。
設立以来、同社は「天人合一を追求し、生命力を高める」を理念とし、現代の科学技術を利用して、伝統的な漢方薬に新しい生命力を与えてきた。
独自に研究開発した復方丹参滴丸は、すでに中国の心脳血管薬品市場の主要な製品になっており、国家科学技術部の「漢方薬現代化科学技術産業活動計画」の重点プロジェクトに、さらに国家計画委員会のハイテク産業化模範プロジェクトと、国家漢方薬現代化重大プロジェクト計画にも入れられている。
陜西省の商洛に原料の丹参薬源の生産拠点を、また雲南省の文山に三七の栽培基地を設けている。
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