三井化学と帝人は8月6日、国内におけるボトル用PET樹脂事業を統合し、新たに合弁会社を設立することを基本合意したと発表した。
国内における飲料需要の減少、アジアからのボトル用樹脂の輸入拡大などに伴い、ボトル用樹脂事業を取り巻く環境は厳しい状況にある。
原料PTAについても、三井化学や三菱化学は国内の能力を落とし(三菱は本年末にゼロに)、海外の能力を拡大している。
2006/4/17 高純度テレフタル酸(PTA)の大増設
生産を集約することによる操業度向上、販売部門統合によるマーケティング力の強化、両社の技術の融合による生産技術力の強化といったシナジー効果が新合弁会社で実現されるとともに、樹脂の原料である帝人のPX事業と三井のPTA事業を含むサプライチェーン一貫での競争力の徹底強化を図ることができるとしている。
合弁会社(社名未定)は、出資比率は三井80%:帝人20%で、2011年4月1日の営業開始を目指す。
両社の現状は以下の通り。
三井化学 原料PTA 岩国 750千トン(老朽機停止で400千トンにする計画) PET樹脂 大竹 145千トン 帝人 原料PX 松山 300千トン PET樹脂 徳山 50千トン→停止 松山 (40千トン停止済み)
新会社設立後の構成は以下の通り。
主要原料 生産 販売
パラキシレン
(帝人)ー→
高純度
テレフタル酸
(三井)ー→
ボトル用
PET樹脂
(三井)生産委託
←
→
ボトル用
PET樹脂
(新会社)ーーー
帝人は当初、松山に40千トンのPET樹脂プラントを持っていたが、Bottle-to-bottle 技術を開発、回収品からのPET樹脂生産のため、徳山に50千トンのプラントを建設し、合計能力を90千トンとした。
回収PET +EG = BHET(ビス2ヒドロキシエチルテレフタレート)
BHET+MeOH =DMT+EG
DMT +H2O = PTA +MeOH
PTA +EG =PETしかし、同社は2008年10月に「ボトル to ボトル」の休止を発表した。
中国をはじめとして使用済みペットボトルの需要が急増して、独自ルートで有償取り引きされるようになり、使用済みペットボトルは入手困難な状況になったのが理由。
この結果、徳山プラントはTPAからの生産に切り替え、松山は停止した。
今回、徳山のPET工場も停止する。
ーーー
ボトル用PET樹脂メーカーの状況は以下の通り。(能力千トン)
国内 | 海外 | |
三井化学 | 145 | 175 |
日本ユニペット | 140 | 52 |
帝人 | 90→50→0 | |
ユニチカ(日本エステル) | 10 | |
クラレ | 10 |
三井化学(海外)
社名 出資 能力 原料PTA インドネシア P.T. Petnesia Resindo 三井化学 41.58%
東レ 47.1%75千トン P.T. Amoco Mitsui PTA Indonesia
BP 50%/三井化学 45%/三井物産 5%
450千トンタイ Thai Pet Resin 三井化学 40%
東レ40%
SCG Chemicals 20%100千トン
(150への増強案)Siam Mitsui PTA
三井化学 49%/Cementhai Chemical 49%
1,400千トン
日本ユニペット(三菱化学 44.85%、東洋紡 44.85%、水島アロマ 10.3%)
(水島アロマは三菱ガス化学と東洋紡の折半出資で、PTA能力250千トン)
岩国工場 東洋紡績 岩国事業所内 66千トン 四日市工場 三菱化学 四日市事業所内 46千トン (委託) 越前ポリマー
(三菱化学 95%出資*)28千トン 国内計 140千トン (委託) 三菱化学インドネシア 52千トン 越前ポリマーは当初は三菱化学50%/カネボウ50%
三菱化学インドネシアは旧称バクリー化成で、現在は三菱化学83.3%、日本アジア投資(JAIC)16.7%
能力はPTA 640千トン、PET 52千トン
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