中国、レアアース市場での支配力拡大へ

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内蒙古のBaotou Steel Rare Earth High-Tech Co と江西省のJiangxi Copper Corpは国際市場でのレアアースの価格支配力強化のため、軽希土類の統一価格メカニズム設定に動き出した。

中国は世界の希土類酸化物の95%以上を供給しており、世界の貯蔵量の半分以上を有しており、Baotou Steel Rare Earth High-Tech だけで世界市場の46%を供給している。この中でも軽希土類は貯蔵量が多い。

レアアースは17の元素で、多くのハイテク分野で使用されている。このうち、下図のランタン(La)からユウロピウム(Eu)までを軽希土類という。

レア・アースの用途例
磁石-高効率高性能モーター用 ネオジム、サマリウム、プロセオジム、ジスプロシウム、テルビウム
研磨剤 セリウム
光学ガラス ランタン
ニッケル水素電池 ミッシュメタル、ランタン
蛍光体 イットリウム、ユウロピウム、テルビウム、ランタン、セリウム

しかし、中国では乱開発されており、このままでは20~30年で中国のレアアースは枯渇するとされている。
また、中国で生産されるレアアースの60%は安値で輸出されている。

このため、「レアアース金属の高利潤と持続可能な発展維持に向け、中国は長期的なレアアースの価格決定権を確保しなければならない」との声が出ており、政府も生産量の制限や、違法採掘の摘発、事業統合の推進などを行っている。

2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限?

中国全国レアアース等鉱物資源秩序特別調整事務室は、7月20日までに内モンゴル、吉林、浙江、広東、四川、重慶、雲南、新疆ウイグルの8省自治区に対して、レアアース産出コントロール指標を提示したことを明らかにした。

7月には本年の輸出許可枠が前年比4割減ることも決まり、供給不足への懸念が強まっている。

  2009 2010 削減率
上期  25千トン  22千トン  
下期 25千トン 8千トン 7割 
年間 50千トン 30千トン 4割 

信越化学はハイブリッド車の駆動モーターなどに使うレアアース磁石の出荷価格を10月から平均2割引き上げる。
一連の規制の影響で、希土類の一種で磁石原料になるネオジムは昨年夏に比べて2.5倍、ディスプロシウムは2倍に上昇、さらに騰勢を強めているという。

直嶋正行経済産業相は7月24日、上海万博視察のため訪れた中国上海市で、同市トップと会談、中国各地の工場などで頻発する労働争議と、中国政府のレアアースの輸出規制に対する懸念を伝えた。
レアアースについて「今年下期の中国の輸出枠が前年同期比7割も削減され、世界の産業に重大な影響が出るとの強い懸念がある」と指摘した。

資源保全のため休止していた米国のMountain Pass社なども生産を再開したり、設備の拡張を行っている。

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中央政府は競争による値下がりを防ぐため、大企業がレアアースの統合を進めることを望んでいる。

内蒙古のBaotou Steel Rare Earth High-Tech と江西省のJiangxi Copper の軽希土類の統一価格メカニズム設定はこの一環である。

Jiangxi Copper はまた、国家発展改革委員会と四川省国土資源部の決定を受け、四川省の提携企業2社(Sichuan Mianning Mining Sichuan Hanxin Mining Industrial)と組んで、来年までに四川省の軽希土類を統合することを計画している。
Jiangxi Copper が四川省の10鉱山を、Sichuan Mianning Mining Sichuan Hanxin Mining Industrialが残りの鉱山を取得するというもの。

中国のレアメタルの主な産地は、
 軽希土類:内蒙古自治区、四川省
 重希土類:江西省、広東省、湖南省、福建省、広西チワン族自治区
となっている。

内蒙古自治区のBaotou Steel Rare Earth High-Tech と四川省の軽希土類を統合するJiangxi Copperが軽希土類の統一価格メカニズムを設定することになると、軽希土類の市場を実質的に支配することとなる。

付記
両社のほか、中国五鉱集団、中国有色鉱業集団、中国アルミの5社が再編の核になるとされる。

業界筋によると、中国政府は全国で123あるレアアース鉱山を10鉱山以下に減らし、精製工場も70から20


業界筋によると、中国政府は全国で123あるレアアース鉱山を10鉱山以下に減らし、精製工場も70から20に減らすことを計画している。
但し、統合は予定通りには進んでいない。


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