中国地域経済の新版図-1

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中国の人民網は特集「中国地域経済の新版図」を掲載した。

Ⅰ 東部地域

1.長江デルタ経済地域

長江デルタ地域は、江蘇省南部、浙江省北部の、上海市、南京市、杭州市、蘇州市、無錫市、揚州市、南通市、鎮江市、湖州市、寧波市、紹興市、舟山市、温州市、嘉興市、常州市など地区レベル以上の16都市および近隣海域を含む沿海地域に囲まれている。面積は21万700平方キロメートル。

成長基盤、体制環境、競争力などの条件をともに備えた地域となっており、中国の近代化建設において極めて重要な戦略的地域として位置付けられている。
陸地面積は全国のわずか2.1%、人口は全国の11%の長江デルタ地域から、GDPの21.7%と財政収入の24.5%、輸出入総額の47.2%が生み出されている。

経済・社会の発展水準と総合力、整った都市体系を備えた地域となっている。

国務院がこのほど「長江デルタ地域の地域規則」で長江デルタ地域の戦略的位置付けを明確にした。
アジア太平洋地域の重要な国際的窓口、国際的に重要な近代サービス業とハイテク製造業センター、強い国際競争力を備えた世界レベルの都市群。

2. 環渤海経済圏



環渤海経済圏は、遼東半島、山東半島、北京市・天津市・河北省を中心とした環渤海沿海経済帯で、山西省、遼寧省、山東省、内蒙古中東部まで広がっている。
発達した交通網や確かな工業基盤、科学技術・教育基盤、豊かな自然資源、密集した中堅都市圏といった5つの優位性を培ってきた。

河北省環北京・天津国家ハイテク産業帯は環渤海湾経済圏のうち北京・天津・河北省都市圏の重要な部分で、2010年6月、科学技術部によって建設が批准された。
科学技術部が建設を批准した全国7つの国家級ハイテク産業帯の一つ。

3.江蘇沿海経済区



江蘇沿海経済区は主に連雲港、塩城、南通などの江蘇沿海地区が含まれ、長江デルタの重要な構成部分となっている。

4.海峡西岸経済区



海峡西岸経済区は、福建を主体とし、台湾に面し、香港・マカオと隣接し、その範囲は浙江省南部、広東省北部、江西省の一部地域をカバーする、

海峡西岸経済区はこれまでに、福建省福州、アモイ、泉州、ショウ州、竜岩、ホ田、三明、南平、寧徳、福建省周辺の浙江省温州、麗水、衢州、江西省の上饒、鷹潭、撫州、カン州、広東省の梅州、潮州、汕頭、掲陽の20都市にまで拡大してしてきた。

海峡西岸経済区の戦略的位置づけは、
▽両岸(台湾と大陸部)の人々の交流と協力の先行地域
▽周辺地域の発展に貢献する新しい対外開放総合ルート
▽東部沿海地域の先進製造業の重要基地
▽国内の重要な自然・文化・観光センター、としての役割を果たすこと。

2009年10月、福建省発展改革委員会は「台湾企業の投資を奨励する産業指導目録」を発表し、情報、機械、石油化学、冶金、紡績製靴、農・林・牧畜・漁業およびその加工、新素材、バイオおよび医薬、金融業、サービス業といった10大産業で、台湾企業の福建省への投資を奨励した。海峡西岸経済区は両岸の金融協力モデル地域へと発展しつつある。

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Ⅱ 西部地域

 西部地域とは、陝西省、甘粛省、寧夏回族自治区、青海省、新疆ウイグル自治区、四川省、重慶市、雲南省、貴州省、西蔵(チベット)自治区、広西チワン族自治区、内モンゴル自治区の12省・自治区・直轄市を指す。

(地図の
  :

 

1. 成渝経済区

成渝(成都・重慶)経済区は、重慶市と四川省成都市の2都市を中心としており、主に重慶(市街区)、成都、雅安、楽山、綿陽、徳陽、眉山、遂寧、資陽、宜賓、瀘州、自貢、内江、南充、広安、達州、広元、都江堰、彭州、キョウライ、崇州、広漢、什ホウ、綿竹、江油、峨眉山、ロウ中、華瑩、万源、簡陽、および重慶の江津、合川、永川など、規模・レベルの異なる33都市から構成される。

経済区の総面積は20.61万平方キロメートル、人口は9840万7千人、GDP総量は1兆5800億元。

2. 重慶両江新区

西部大開発戦略の具体的な実施として、重慶の「両江新区」が2010年6月18日に成立した。
「両江新区」は上海の浦東東新区、天津濱海新区に続く中国で3番目の国家級新区で、内陸では唯一の国家級新区。

「両江新区」は重慶市市街区の
長江以北、嘉陵江以東に位置し、江北区と渝北区、北碚区の3つの行政区の一部区域を含む。計画面積は1200平方キロメートルで、そのうち開発可能な建設面積は550平方キロ。

重慶の「両江新区」の戦略的位置づけは、重慶市に立脚し、西南地区にサービスし、長江経済帯をよりどころに国内外を対象とする。

「一つの窓口、二つの中心と三つの基地」
西部内陸地域の対外開放の重要な窓口で、
長江上流地区の現代的な商業・物流センターと長江上流地区の金融センターの2つの中心を持ち、
国家の重要な現代的製造業と国家ハイテク産業基地、内陸の国際貿易の動脈と輸出商品の加工基地、長江上流の科学技術革新と科学研究成果の産業化基地の3つの基地を形成する。

3. 関中-天水経済区

国務院新聞弁公室は2009年6月25日に、「関中-天水経済区発展プラン」を発表した。「全国内陸型経済の開発・開放の戦略的な重要な拠点」と位置づけている。

「国家西部大開発『第11次五カ年計画』」で確定された西部大開発の三大重点経済区の一つで、陜西省西安や銅川、宝鶏、咸陽、渭南、楊凌、商洛の一部県や甘粛省天水が管轄する行政区域が含まれ、面積は7.98万平方キロメートル。



4. 青海省柴達木循環経済試験区

2010年3月15日、国務院は国家発展改革委員会と青海省人民政府が作成した「青海省柴達木循環経済試験区全体計画」を許可した。これは国務院が許可した2番目の地域循環経済発展計画。

5. 新疆地域経済振興計画(審査許可中)

新疆地域経済振興計画はエネルギーや観光、鉄鋼、新型農業、循環経済を重点的に支援する。
計画ではウルムチ北西に石油都市を構築、ユーラシア大陸橋を通じて中央アジア5カ国から中国に輸送された石油・天然ガスを同地に貯蔵する。
同時に、資源の豊富な中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジクスタン、ウズベクスタン、トルクメニスタン)との国境貿易の発展を推進し、経済協力区を構築する。
同時にイランやアフガニスタン、パキスタンとの国境貿易やエネルギー協力を推進する。



6. 甘粛

2010年5月6日、国務院弁公庁は「甘粛経済社会発展のより一層の支援に関する若干の意見」を発表した。

甘粛発展の戦略的位置付けは、ユーラシア大陸橋をつなぐ戦略的通路、南西部と北西部をつなぐ交通の要所、北西部ひいては全国の重要な生態安全の防壁、全国の重要な新エネルギー基地、非鉄冶金新素材の基地、特色ある農産品の生産・加工基地、中華民族の重要な文化資源の宝庫、各民族の団結と奮闘の促進と共同の繁栄・発展のモデルエリアとなっている。

7. 広西北部湾経済区

2008年1月16日、国家は「広西北部湾経済区発展計画」の実施を許可した。

北部湾経済区の戦略的位置付けは、重要な国際的地域経済協力区。
中国南部大開発とASEAN向けの開放・協力の重点地区で、国家の地域発展全体戦略とウィン・ウィンの開放戦略の実施に対して重要な意義を持つ。

広西北部湾経済区を中国とASEANの開放・協力の物流基地、商業・貿易の基地、加工・製造基地、情報交流センターとし、西部大開発を支える戦略的な重要拠点にし、開放度が高く、波及力が強く、経済的に繁栄し、社会が調和し、生態的に優れた重要な国際地域経済協力区とする。

中国沿海の南西端に位置し、南寧や北海、欽州、防城港の4市と玉林、崇左の両市の物流センター2カ所からなる「4+2」の所轄の行政地域からなり、陸地面積は4.25万平方キロメートル、2008年末の総人口は1300万人(玉林、崇左は除く)。

 


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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