BPは9月3日、問題の井戸の古い噴出防止装置(BOP)を外して、新しいBOPを据え付けた。
井戸には約1,000バレルの原油が閉じ込められていると見られ、下部をセメントで封鎖すると、圧力で上部のセメントのプラグが壊れ、原油が流出する可能性があったが、これで井戸からの原油流出の危険はなくなった。
2010/9/6 メキシコ湾原油流出事故の状況
掘削船Development Driller III (DD3)からのリリーフ井戸(#1)の掘削は9月15日に再開され、最後の45フィートを掘削、16日午後、海面下17,977フィートの地点で本体井戸と接続した。
検査の結果、異常がないため、17日午後にannulus(岩石と井戸のケーシングの間の環帯)にセメントが注入された。
9月19日、BPはannulusとケーシングがセメントで密封され、井戸の封鎖が完了したことを確認した。
セメント作業が終わると、リリーフ井戸(#1)は封鎖され、廃棄される。
掘削船Development Driller Ⅱ (DD2)はリリーフ井戸(#2)から本体井戸の追加データを収集、爆発事故の時点で井戸にあったドリルパイプの所在を確認する。
この後、リリーフ井戸(#2)も封鎖・廃棄作業に入る。
BPのCEOTony Haywardは、「メキシコ湾への脅威はなくなった。しかし、まだするべきことがある。メキシコ湾、湾岸、地域の住民へのダメージを回復するというBPの約束は変わっていない」と述べた。
9月17日までの総コスト(流出対応、井戸関連費用、各州への支払い、損害賠償等)は約95億ドルに達した。
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BPは9月8日、メキシコ湾原油流出事故の原因の報告を発表した。
2010/9/9 BP、メキシコ湾原油流出事故の原因調査報告を発表
しかし、これは最終のものではない。
米司法省は並行して刑事面と民事面の調査を行っている。
沿岸警備隊とBureau of Ocean Energy Management (内務省の鉱物資源管理局を再編したもの)は共同で事故の原因を調査している。
下院のエネルギーおよび商業対策委員会は爆発について独自の調査を行っている。
産業界の事故を扱うChemical Safety Boardも正式に調査を開始した。
調査の結果、BPに重大な過失があったかどうかで、各社の負担が大きく異なる。
1)米国油濁法
2) Clean Water Act
3) 共同権益者との関係
2010/8/2 BP、油井完全封鎖へ
付記
Chevron、ConocoPhillips、ExxonMobil、Shellの4社は7月21日、将来のメキシコ湾の海底油田の原油流出事故に対応するため、漏れた原油の回収と油井封じ込めを迅速に行うための非営利会社 Marine Well Containment Companyを均等出資で設立すると発表した。
BPは9月19日、Marine Well Containment Companyに参加する意向を表明した。
海底井戸を封じ込める機器をメキシコ湾で操業する全ての石油・ガス会社に利用させる。
2010/7/24 原油流出事故のその後 ー上院小委員会公聴会と原油流出事故対応会社設立
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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