BPは9月8日(日本時間午後8時)、メキシコ湾原油流出事故の原因の報告を発表した。
単一の原因ではなく、多くの当事者の一連の失敗が爆発事故を引き起こしたとしている。
Press release
Executive summary
Full investigation report
Presentation slides
BPの結論は、多数の企業のチームの決定が事故の原因で、一連の、相互に関連したメカニカルなエラー、判断、エンジニアリングデザイン、作業から起こったとしている。
50人以上の調査チームの4ヶ月にわたる調査で、以下の点が分かった。
・ | Macondo油井の底部のWellbore annulus(岩石と井戸のケーシングの間の環帯)で使われたセメントスラリーが原油を油層にとどめることが出来ず、原油とガスがケーシングを上昇した。セメントの設計、テスト、品質保証、リスク分析に問題があった。 |
・ | 井戸がきちんと整備できていないのに、BP とTransoceanが圧力テストの結果を誤って問題なしとみなした。 |
・ | 40分間以上にわたり、Transoceanのリグの操業担当が炭化水素が井戸に流入しているのを見逃して対応せず、その結果、炭化水素が急速に海面まで噴出した。 |
・ | 炭化水素がリグに到達した際に、泥とガスを分離する機械に流れたため、ガスがリグの外に放出されずに、直接リグに向かった。 |
・ | ガスがエンジンルームに入り、爆発した。 |
・ | 爆発後も海底の噴出防止装置(BOP)が自動的に井戸を閉鎖する筈が、作動しなかった。 恐らく重要部品が動かなかったと見られる。 |
CEOのTony Hayward(間もなく退任)は、「単一のミスではなく、一連の複雑な問題が原因となった。BP、Halliburton、Transoceanを含む当事者がからんでいる」と述べた。
Transoceanは掘削作業を担当、Halliburtonはセメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)を担当している。
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BPとしては、自社が責任はないとはしないが、TransoceanやHalliburtonのミスも事故の原因になったとし、損害賠償責任の一部を転嫁しようとするもの。
以前の情報には、この油井がやっかいなものだとの認識が当事者の間にあったとされており、今回の調査では、それらの点は触れられていない。(Press release の範囲では)
これはBPの調査結果であり、最終的には米国政府が、回収したBOPの分析も含め、事故原因と責任企業を決めることとなる。
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槍玉にあげられたTransoceanとHalliburtonは直ちに反論した。
TransoceanはBPは自身の失敗、すなわち、井戸のデザインの欠陥を取り繕っていると批判した。
同社は自ら調査を行い、いくつかの井戸のデザインの問題点を挙げている。その一つは、centralizer(偏り防止装置)をHalliburtonがアドバイスした数の1/3以下しか使用しなかったこと。
HalliburtonはBPの報告には重要な点の省略や不正確な点が多くあると述べた。
同社はBPの指示通りに井戸の作業をしたことに自信を持っているとし、BPとの契約によれば、報告に書かれている非難からは、完全に保護されていると述べた。
更に、BPは井戸のデザインやテストに関し、完全な責任を有しているとしている。
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