ブラジルのPetrobrasは9月23日、ブラジル政府や投資家を対象に史上最大規模の株式発行を実施し、計1,204億レアル(700億ドル≒約5兆9000億円)の増資を行った。
優先株18億7000万株を@26.3レアルで、普通株24億株を@29.65レアルで、それぞれ発行した。(1$=1.72レアル)
当初の計画増資額は670億ドルであったが、これを上回った。
これまでの最高は1987年のNTTの368億ドル、次が本年初めのAgricultural Bank of Chinaの221億ドルとされている。
今回の増資は、米州で発見された油田としては埋蔵量が過去30年で最大のTupi など沖合油田の開発資金の調達や、投資適格級格付けの維持が狙い。
Petrobrasは2010-2014年の期間に2,240億ドルを投じて開発し、2014年までに産出量を倍増の日量390万バレルとし、ブラジルを世界5位の産出国、トップ10の石油輸出国にする計画をたてている。
2009-2013年の5年間では1,740億ドルの計画。
2009/1/31 Petrobras、新油田開発で大規模投資計画を発表
実際には既存株主から570億ドル、機関投資家から300億ドルの合計870億ドルの応募があったとされる。中東やアジアの政府系ファンド、米国の投資信託からの応募も含まれる。
このため同社では30日以内に追加の1億8800万株の発行を行う予定。
付記
同社は、増資により財務体質が大きく改善したため、借入などで今後5年間で600億ドルの調達を行う方針を示した。
同社は9月1日、ブラジル政府との間で、国が保有するブラジル南岸の深海鉱区の原油50億バレル相当の所有権を同社に移転することで合意した。政府は見返りに748億レアル分の新株を取得する。
水面下5000~7000メートル程度の深海油田でPre-Salt層(海底岩塩下層)にある。
この取引で、埋蔵原油は1バレル8.51ドルの評価となり、アナリストの予想(7.50ドル)より高い。
ブラジル政府はPetrobras株の32%を保有し、議決権の55.6%を握っていたが、これにより政府の出資比率は大きく上昇する。
政府の支配力が強まると見られ、1999年代の民営化を元に戻る動きと見る向きがある。
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
コメントする