PetroChinaとロシアのRosneftが天津で製油所建設

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PetroChinaとロシアのRosneft(ロスネフチ)は9月21日、天津の南港工業区で両社のJVの製油所の起工式を行った。

300億人民元を投じて年産1300万トンの製油所を建設するもので、両社のJVの中露東方石化(天津)〔
Chinese-Russian Eastern Petrochemical (Tianjin)〕が運営を担当する。JVは2007年10月にPetroChinaが51%、Rosneftが49%の出資で設立された。

1300万トンの常圧・減圧蒸留装置、270万トンの連続改質装置、400万トンの残油改質装置、芳香族とプロピレン製造装置(能力非開示)などの装置を含んでいる。

業界筋の情報では、製油所の完成は2015年を予定しており、ガソリン、ディーゼル油、航空機燃料、液化ガスなどの製品は主に中国市場に向けられる。

ロシア側が原油の約70%を市場価格でJVに供給し、残りの30%はアジアで手配する。

なお、天津には他に、Sinopec天津石化が年産550万トンの製油所を、Sinopec-SABIC石化が1000万トンの製油所を持っている。中露東方石化が完成すると、天津の製油所能力は2850万トンに達する。

起工式には天津で開催された第6回Russian-Chinese energy talksに出席した王岐山副首相とロシアのセチン副首相が出席した。

PetroChinaの総経理は、中露合弁の製油事業は中国の原油構造の高度化、中露エネルギー関係の促進、天津の経済発展の推進など重要な意義を備えていると述べた。

セチン副首相は、この事業のスタートはマイルストーン的意義があるとし、両国の石油川下部門の協力が始まり、両国友誼の象徴になるだろうと述べた。

中国とロシアのエネルギー協力の成果としては、他に、8月29日にはロシアと中国を結ぶ石油パイプラインのロシア側の敷設完了のセレモニーが行われ(下記)、9月9日には、ロシアから中国向けの石炭輸出拡大契約が調印された。

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中国は2009年2月、ロシアとの間で政府間協定を結んだ。中国開発銀行が
Rosneftに150億ドル、東シベリア太平洋パイプラインを運営するTransneft に100億ドルを低利で融資する見返りに、Rosneftは2011年から20年間、毎年15百万トンの原油の供給を行い、Transneft は石油パイプラインを中国に延長することとなった。

2010年8月29日、ロシアと中国を結ぶ石油パイプラインのロシア側の敷設が完了、プーチン首相出席の下、稼働セレモニーが行われ、技術テストが始まった。
胡錦濤国家主席と訪中しているロシアのメドベージェフ大統領は9月27日、ロシア・スコボロジノから中国・大慶までの約千キロの石油パイプラインの完工式に出席した。そこから既存のパイプラインで大連、北京につながる。
年内にもロシアから中国への原油供給が開始される。

当初、ロシア側はこの原油が天津のJVで使われることを希望していたが、PetroChinaでは遼寧省の製油所拡大など、中国北東部の製油所で全量を使用することを決めたため、本年7月時点では、天津のJVの原油ソースが決まっていなかった。

2009/7/22  CNPC、ロシアからの原油用に遼陽市の製油所を拡大

業界筋の情報では、これとは別に、ロシア側が年間910万トン(所要量の7割)をJVに供給することとなり、建設開始が決まった模様。

なお、胡錦濤国家主席と訪中しているロシアのメドベージェフ大統領は9月27日、石油、ガス、石炭、原子力をめぐり両国間の関係を深めるための合意文書に署名した。

石炭での協力、原子力の平和利用に関する戦略的協力、中国北方工業公司と世界最大のアルミメーカーRusalとの間の投資の覚書(2009年にRusalからのアルミ供給契約を締結している)、江蘇省の田湾原子力発電所のNo.3とNo.4をめぐる技術協力、ロシアから中国向けの天然ガスの供給拡大、中国工商銀行とVTB Bankの金融協力などが含まれる。

GazpromPetroChinaに対し、2015年から30年間、年300億m3の天然ガスを輸出する。

共同記者会見で、中ロの協力は「新たな出発点にある」と表明、さらなる関係強化を呼び掛けた。 

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Rosneftはロシアの石油会社で、ロシア政府が75.16%を所有、残りは公開されているが、国有財産管理庁に管理されており、実質的にロシアの国営企業である。
サハリン、シベリア、Timan-Pechora行政区、そしてチェチェンを含む南ロシアで石油と天然ガスを生産している。
2009年に1億800万トンの原油を産出している。

Rosneftは又、Sinopec とも提携している。

両社は2006 11 月に戦略的枠組み協定に調印し、TNK-BP Tyumen OilBPの合弁)からUdmurtneft(沿ヴォルガ地域)油田を買収、共同経営を開始した。

Sinopec Rosneft からサハリン3の一部 Veninsky oil project 25.1%の権益を取得している。(残り74.9%はRosneft
なお、
Sinopecが最近、開発がうまくいかないとして技術者を引上げたとの情報がある。

サハリンの各鉱区の最新状況は下記を参照
  2006/6/6 
「新・国家エネルギー戦略」発表


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