三菱化学、リチウムイオン二次電池用負極材の製造能力増強

| コメント(0)

三菱化学は9月8日、坂出事業所におけるリチウムイオン二次電池用負極材の製造能力増強を発表した。

現在、坂出事業所に年産3,000トンの負極材製造設備を保有、2010年12月に2,000トンの増強を行うが、一層の需要拡大に対応するため、製造能力をさらに2,000トン増強し、年産7,000トンとする。

増強工事の完了は2011年5月、投資金額は約10億円の予定。

三菱化学はリチウムイオン二次電池の主要4材料(電解液・負極材・正極材・セパレータ)すべてを取扱う世界唯一の企業。

各事業部に分散していた電解液、負極、正極、セパレータの事業と研究開発を一括運営する社長直轄プロジェクトを立ち上げ、1999年に電池機材部を新設し、2003年には電池機材事業部に昇格させて、プロジェクトを推進している。

ーーー

付記

三菱化学は9月30日、リチウムイオン電池用負極材を中国にて製造開始するため、本年10月に現地製造販売新社を設立すると発表した。

会社名:青島雅能都化成有限公司(仮称) (Qingdao Anode Kasei Co., Ltd.)
所在地:青島市(球形化黒鉛製造合弁の青島菱達化成有限公司に隣接)
出資  :三菱化学 100%
能力  :4,000トン/年
営業運転開始:2012年3月(予定)

ーーー

リチウムイオン二次電池の仕組みは以下の通り。

リチウムイオン二次電池は、非水電解質二次電池の一種で、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う。

現在では、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にグラファイト(黒鉛)などの炭素材を用いるものが主流となっている。
三菱化学の正極は三元系
(ニッケル/コバルト/マンガン)を使用、
通常は1/3ずつ(
LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2)だが、高価なコバルトの比率を10%に落とすのに成功した。

電解液には非水溶液系電解質を使用する。
炭酸エチレンや炭酸ジエチルなどの有機溶媒 +ヘキサフルオロリン酸リチウム (LiPF6) といったリチウム塩を使う。

 

三菱化学の状況は以下の通り。

  工場 現行能力 増設計画 目標 シェア
2009→2015
 
正極材
 三元系
水島 600t 2010/10 
 
+1,600t
15,000t 5%未満→10% コバルト10%に低減
(通常 1:1:1)
負極材
 グラファイト
坂出 3,000t 2010/12 
  
+2,000t
2011/5 
  
+2,000t
 35,000t 20%→35%  
付記 中国
青島雅能都化成
  2012/3
  +4,000t
電解液
(機能分担型電解液)
四日市 8.500t 2012/2
  +5,000t
50,000t 25%→40%  
付記 英国   2011/
  
10,000
     
付記 米国   2012/
  
10,000t
     
付記 中国   2012/末
  
10,000t  
     
セパレータ
(ポリオレフィン)
三菱樹脂
 長浜
1,200
m2
2012/夏
1,500
m2  
7,200万
m2
5%未満→10%  
             
球形化黒鉛
(負極材原料)
青島菱達化成
(山東省青島市)
  2,000t     三菱化学 49%
青島泰達天潤炭材料 37%
明和産業 14%
N-メチルピロリドン
(電解液原料)
水島 15,000t 検討中      

 

 

付記

 

付記 シェア (2010/12/14 日本経済新聞)

正極材 日亜化学  25%
Umicore(ベルギー)  20%
田中化学研究所  15%
負極材 日立化成  40%
JFEケミカル  10%
三菱化学  10%
電解液 宇部興産  25%
三菱化学  20%
第一毛織(韓国)  10%
LG Chem   10%
10%セパレーター 旭化成  45%
東燃機能膜  20%
Celgard(米)  15%

 

コメントする

月別 アーカイブ