三井物産は9月10日、神華集団との包括的業務提携に合意した。
神華集団は、年産3億3,000万トンと世界最大の石炭生産グループであり、加えて発電・鉄道・港湾・石炭化学など 26の事業会社を傘下に保有している。
2009年
石炭生産:330百万トン/年
発電容量:26,800MW
総発電量:1,188億kWh/年
鉄道資産:1,370km(包頭~天津等)
港湾資産:河北省滄州市Huanghua港、天津港専用石炭ターミナル石炭化学については:
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2010/7/23 神華包頭石炭化学、秋に中国最初の石炭からのポリオレフィン生産をスタート
今回の業務提携の骨子は、
(1)日本向け及び中国向け石炭物流の拡大 | 10年以上にわたり神華集団の発電用石炭の日本向け販売を促進してきた。 |
(2)海外炭鉱の共同開発 | モンゴルなどの海外の優良炭鉱の共同開発 |
(3)石炭化学事業 の共同検討 | 石炭を原料とする化学品素原料及び製品の製造・ 販売 |
(4)環境・エネルギー有効利用事業の推進 | 低炭素社会の実現に向けた環境プロジェクトなど |
第一弾としてモンゴル南部の世界最大規模のTavan Tolgoi 炭鉱開発に共同で応札するほか、石炭火力発電所向けに日本のクリーンコール技術や石炭液化技術、環境技術などを導入する。
Tavan Tolgoi 炭鉱は、埋蔵量が65億トンと世界最大の未開拓の炭鉱。このうち約20億トンは製鋼原料となる原料炭で、地表から浅いところに石炭層があり採掘コストが安いのも特長。
モンゴル政府は炭鉱の資源を監督する国営企業を設立するが、この企業の株式30%を国内外で売却し、15億ドルの初期開発費用に充当する予定。
10月からの国会審議を経て権益や長期契約など条件を詰め、年内にも入札を行う。
神華エナジーが有力候補2社のうちの1社となっている。
神華エナジーはモンゴル国境まで鉄道をつなぎ、Oyu Tolgoi と Tavan Tolgoi の石炭と銅を中国に運ぶ計画のコンソーシアムの中心となっている。
炭鉱開発には鉄道が必須となる。
近くのOyu Tolgoi は銅・金鉱山で、カナダのIvanhoe Minesが権益を持っているが、これに出資するRio Tintoがモンゴル政府との間で投資契約を締結した。
Ivanhoe はまた、Ovoot Tolgoi 炭鉱の開発も行っている。
2009/11/28 Rio Tinto、モンゴルの鉱山開発で中国アルミと提携か?
伊藤忠を中心に丸紅、住友商事、双日の4社連合も応札する計画で、官民一体で発電所や水事業、輸送インフラ整備など総合開発を提案している。
モンゴルの鉱物資源・エネルギー相がモンゴルへの積極的な投資を呼びかけるために7-8月に来日、伊藤忠、丸紅、双日、三井物産、三菱商事の資源担当者と会い、開発や投資について意見を交換した。
8月3日、モンゴル鉱物資源・エネルギー省と国際協力銀行は情報交換の促進による協力関係の強化を目的とする覚書を締結した。
モンゴルのエネルギー鉱物資源開発政策や、エネルギー鉱物資源開発、重工業及び電力分野における事業、同国におけるJBICのファイナンス可能性等に関する情報交換の促進により、両者間の協力体制を強化することを目的とするもの。8月2日には、モンゴル鉱物資源・エネルギー省と石油天然ガス・金属鉱物資源機構、産業技術総合研究所は、モンゴルの地質調査と鉱物の探査で協力することで合意、互恵的協力関係の強化を図る包括的な内容の覚書を締結した。
今後、モンゴル国内のレアアースをはじめとするレアメタル資源のポテンシャルを評価するために、共同で調査を実施する。
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