最近の人民元の動き

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中国人民銀行は6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、 2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。毎日発表する基準値に対し、±0.5%の変動を認めるもの。

7月2日には6.7711人民元/$と、6月18日比で0.83%の元高となったが、その後は横這い状態が続いた。

中国人民銀行は8月12日に基準値を実勢値に関係なく急に6.8015人民元に引き下げ、その後安値が続いた。

8月9日に6月18日比で0.87%の元高になっていたのが、9月1日終値では0.22%にまで戻った。
人民元高で輸出に影響が出るのを恐れて、中国政府が介入したと見られている。

その流れは9月8日にサマーズ国家経済会議委員長が人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談した後、急に変わった。

更に、ガイトナー長官が9月13日の米ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで人民元の上昇幅に対し「とても小さい」としつつ「中国も認識していると思う」と指摘。中国側の対応にも期待感を示した。
16日に議会での証言が予定されている。

中国人民銀行は9日以降、基準値を引き上げ、17日には6.7172元と、6日連続で最高値を更新した。

17日の終値は6.7235元となり、5日連続で最高値を更新、中国人民銀行が市場レートと公定レートを一本化した93年末以降での最高値を付け、6月18日比で1.50%の元高となった。

但し、これは米国が期待するものとは言えない極めて緩やかなものである。
米議会は対ドルで25~40%の過小評価と主張している。

Big Mac指数では現在のレートは48%の元安となっている。

2010/8/6 人民元の現況

9月13日再開した米議会で、超党派の議員93人が人民元の過小評価分を補助金とみなして、相殺関税などをかける法案を採決するよう議会指導部に書簡で要請した。

ガイトナー財務長官は16日、上院銀行委員会で証言、人民元について「著しい過小評価で、6月19日の弾力化声明後の上昇は遅すぎ、幅も限られている」とし、中国当局に上昇の加速を促した。

なお、アルミや光沢紙のメーカーが、過小評価された人民元が中国のメーカーにとって補助金の役割を果たしており、米国の競合相手より安い価格での販売が可能になっていると主張していたが、米商務省は8月31日に、不正な輸出補助金に当たるかどうかについて、調査しない方針を仮決定した。

中国の為替政策が「調査中の企業や業界に特定されたものではない」というのが理由。

商務省は、中国政府による実際の金銭的な補助金については主張を認め、中国企業に対し最大137.65%の相殺関税を課すことを仮決定した。今年11月までに本決定する。

付記

9月21日の上海外国為替市場の人民元相場は、銀行間取引で対ドルが9営業日続伸し、6.7079元/$で終了した。一時は6.6987元まで上昇、心理的に重要な6.7000元の節目を突破した。(基準値も6.6997元)

中国市場は9月22日から26日まで休場となる。

オバマ大統領は9月23日、ニューヨークで中国の温家宝首相と会談し、「人民元の為替水準を巡る争いを解決するため、中国は今以上に行動する必要がある」と述べ、迅速で大幅な人民元相場の切り上げを求めた。
しかし、温首相は「為替制度の改革を着実に進める」と従来の見解を繰り返した。

米下院歳入委員会は9月24日、中国に対する人民元の切り上げ圧力を高める対中制裁法案を可決した。

9月29日に下院本会議で採決する見通し。

制裁法案は、為替市場への介入により自国通貨の価値を過小評価させている国に対して、米国政府が相殺関税などの対抗措置をとれるようにする。

なお上院は下院とは別の対中制裁法案を審議している。


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