全国B型肝炎訴訟のうち北海道訴訟の第5回和解協議が10月12日、札幌地裁であり、国側は補償額を、症状に応じて500万~2500万円支払う具体案を初めて提示した。
原告以外の患者も含めれば、財政負担が最大2兆円になるとする試算も明らかにした。
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集団予防接種で注射器が使い回されたことが原因でB型肝炎ウイルスに感染したとして、患者ら57人(うち3人死亡)が国に総額19億9650万円の損害賠償を求めた「B型肝炎北海道訴訟」で、札幌地裁は2010年3月12日、原告・被告双方に和解を勧告した。
訴状によると、原告57人は道内外在住の30~60代の男女。0~6歳のころに国による集団予防接種を受けてB型肝炎ウイルスに感染したり、集団予防接種が原因でB型肝炎ウイルスに感染した親から母子感染したとされ、1人当たり1650万~6600万円の賠償を求めている。
B型肝炎訴訟を巡っては、最高裁が2006年6月、国の責任を認め、札幌市の患者5人(うち1人死亡)に対して各550万円、計2750万円の支払いを命じた判決が確定している。
判決概要 1. 予防接種の経緯 1948年厚生省告示で、注射針の消毒は必ず被接種者1人ごとに行わなければならないことを定め、1950年厚生省告示において、1人ごとの注射針の取りかえを定めた。
しかし、B型肝炎ウイルス感染の危険性に関する知見が形成された1951年以降も、国は集団予防接種の実施機関に対して、注射器の1人ごとの交換または徹底した消毒の励行を指導せず、注射器の連続使用の実態を放置していた。2. 因果関係の判断 通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、それで足りるものと解すべきである。 ・B型肝炎ウイルスは、注射器の連続使用によって感染する危険性がある。 ・原告らは、幼少期に集団予防接種を受け、注射器の連続使用がされた。 ・原告らは、幼少期にB型肝炎ウイルスに感染して持続感染者となり、成人期に入ってB型肝炎を発症した。 ・他の原因による感染の可能性は、一般的、抽象的なものにすぎない。 経験則上、集団予防接種と原告らの感染との間の因果関係を肯定するのが相当である。 3. 除斥期間の判断 加害行為が終了してから相当期間が経過した後に損害が発生する場合には、損害の全部または一部が発生した時が除斥期間の起算点になると解すべきである。
国内にはB型肝炎の感染者が推計約140万人いるとされるが、国は感染の因果関係がはっきりしないとして一律救済を拒否。
このため、2008年の札幌地裁を皮切りに、東京や福岡など全国10地裁に患者ら383人(うち6人死亡)が順次、国家賠償を求めて提訴している。
全国10地裁で係争中のB型肝炎訴訟で、和解が勧告されたのは初めて。
国側は5月14日、和解協議に入る意向を正式に表明したが、戦後最大規模の賠償金額になる可能性があり、巨額の財政負担が発生しかねないことなどを懸念し、救済の具体案提示を先送りしていた。
C型肝炎の場合、国の責任による救済を限定しているため対象者は現在約1400人で、300億円の基金内に収まっている。
因果関係が明確でないB型は国の責任範囲が広がりかねず、救済対象が数十万人単位になると、国の負担が兆円単位に膨らむ可能性がある。
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今回の国側の補償案は以下の通りで、無症候性キャリアーには検査費の助成のみとしており、総額は約2兆円となる。
菅首相は同日、「国民に負担をお願いすることもあり得る。被害者と同時に国民にも納得してもらえる和解案を生み出す努力が必要」と述べた。
原告側は、無症候性キャリアーも含め薬害C型肝炎と同水準の1200万~4000万円を求めており、国の試算では最大8.2兆円になる。
両者の差は大きく、今後も協議は難航しそうだ。
国側 | 原告側=C型同様 | |
死亡・肝がん・肝硬変(重症) | 2500万円 | 4000万円 |
肝硬変(軽症)* | 1000万円 | |
慢性肝炎 | 500万円 | 2000万円 |
無症候性キャリアー | 検査費助成 発症時に賠償 |
1200万円 |
和解に要する総額 (国の試算:今後30年間で 発症する患者分を含む) |
約2兆円 現状 3100億円 30年間病状進行 1.2兆円 検査費 5000億円 |
約8.2兆円 現状 6.8兆円 病状進行 1.4兆円 |
救済対象の証明方法 | 母子手帳 腕の注射痕など (予防接種以外の 感染の可能性) |
国内居住歴 (国民のほぼ全員が 予防接種を受けている) |
* 肝硬変の重症、軽症判断は、日常生活や働くことが制限されるかどうかなど
国側は、B型肝炎の感染者数を110万~140万人と推計。予防接種で感染した救済対象は最大で、
(1)死亡 5000人
(2)肝がん、肝硬変 4000人
慢性肝炎 24,000人
計2万8000人
(3)無症候性キャリアー44万人(うち4万人が今後発症)と試算している。
同じ肝炎でもC型肝炎と差をつけた理由として、国側は「薬害肝炎と比較して因果関係の根拠が乏しく、同水準とするのは不適当」としている。
これに対し患者側は、「B型もC型もウイルスとの闘いに差はない。命に差をつけるのは納得がいかない」と非難している。
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フィブリノゲン製剤と第9因子製剤の投与による薬害C型肝炎救済法では、給付額は以下の通りとなっている。
慢性C型肝炎が進行して、肝硬変もしくは肝がんに罹患し、または死亡した者 4000万円
慢性C型肝炎に罹患した者 2000万円
それ以外 1200万円
2008/1/16 薬害肝炎救済法 成立
患者側はこれと同じ補償を求めている。
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2009年11月30日に「肝炎対策基本法」が参議院で可決され成立した。
日本にはB型肝炎・C型肝炎に感染している人が350万人、患者が60万人いると推計され、国内最大の感染症となっている。
肝炎対策基本法は、肝炎対策の基本理念を定めるとともに、国・地方公共団体の責務を明らかにした上で、肝炎の予防・早期発見・療養に係る経済的支援等の施策を総合的に推進するもの。
具体的内容は以下の通り。
1.国の責任を明記
「薬害肝炎事件では、感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止し得なかったことについて国が責任を認め、
集団予防接種の際の注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスの感染被害を出した予防接種禍事件では、最終の司法判断において国の責任が確定していること等を踏まえて制定した」。
2.肝炎対策の基本理念
居住地にかかわず肝炎の検査・適切な治療を受けられること、
施策の実施にあたって差別されないよう配慮すること
3. 国・地方公共団体・医療保険者・国民・医師の責務を明らかにする
政府は、肝炎対策を実施するための財政上の措置を講じなければならない
4. 肝炎対策基本指針を策定
(以下、略)
肝炎が国民病になったことについての国の責任を明記するとともに、国・地方公共団体・医療従事者等の責務を定めた点は評価できる一方、具体的な予算措置は記載されていない。
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
名前がtondemoになっているからといって、主張していることがトンデモであると思わないでくださいね。質問サイトであるOKWaveで使用していたIDなので。科学的に間違っている、と思われるならば削除されてもかまいません。
私は、ある物理的な治療法を研究していました。その立場から言えば、肝炎は簡単な方法で、即効的に治癒可能な病気であると考えています。高額な補償が必要なのでしょうか?現代医学では治療が困難ということに過ぎない。薬を使用しなくても、同じ方法でうつ病も喘息も一日で完治するなんてことも。一つの理論を知れば、多くの病気に適用可能です。医学は、化学から物理学へ、パラダイム転換することが必要でしょう。OKWaveは退会しましたが、例えば「現代医学 科学的」などをはじめ、文中の語句を手がかりに、芋づる式に検索していただければ、断片的ではありますが私の言っていることがご理解いただけるかもしれません。
OKWaveでは、肝炎訴訟原告を名乗る人から、全く医学知識のない、アホ、バカ、基地外、新興宗教と罵倒されました。まあ、利害の絡む話ですから。しかし、このような人とは関りたくないので、どうぞご勝手に、というしかない。