韓国とEUは10月6日、自由貿易協定(FTA)の締結で正式署名した。
2011年7月1日に発効する見通し。
李大統領は、「両者は、新しい次元の関係に跳躍できる歴史的なきっかけを作った」と述べ、「韓国とEUは今後、東西という地理的距離を乗り越え、未来志向的な身近な関係へと大きく発展していくだろう」と強調した。
大統領府報道官は、「韓―EU間FTA署名には、自由民主主義や市場経済、人権についての価値を共有する哲学が基になっている」とし、「このような『価値同盟』を基に、経済同盟へと進むことになるだろう」と語った。
韓国とEUは2010年3月24日にFTA交渉で事実上妥結したが、いくつかの問題で最終的な妥結に至らず、その後双方で交渉を続けていたが、7月13日、交渉が妥結した。
2009/7/14 韓国・EU、FTA最終合意
その後、EUは9月13日に定例の一般・対外関係理事会で、承認の可否について話し合ったが、イタリアの反対により、再び決定が留保された。
イタリアは「韓国製の小型車が輸入された場合、国内の自動車市場が深刻な脅威にさらされる」という理由で反対した。
その後、イタリアは年内の発効を遅らせることを条件に同意、9月16日のEU外相理事会で2011年7月1日発効で合意したもの。
双方は、相手地域で生産した自動車・冷蔵庫・カラーTVなど工業品に対しFTA発効5年以内に全関税を撤廃することで合意した。
EUの関税は、自動車で10%、テレビで14%と高率で、関税撤廃による韓国企業の輸出拡大が予想される。
工業製品関税については、原則 5年間で関税を完全撤廃。
自動車部品は協定発効と同時に関税を撤廃、
中大型乗用車は3年、小型自動車は5年内に撤廃
韓国は例外として40余りのセンシティブ品目について7年内の関税撤廃。
(関税率が16%のその他機械類、純毛織物など)
見返りとして、農業品などの関税撤廃についても大部分は合意した。
韓国政府は、期間10年、総額270億ドルの国内農家向け支援策をまとめた。
EU産ワインは、直ちに撤廃
EU産豚肉に対する関税は、冷蔵肉全体とバラ肉冷凍肉は10年以内に、その他の部位の冷凍肉は5年以内に撤廃。
但し、韓国のコメ市場は開放しない。トウガラシ、ニンニク、タマネギも「主要調味料」として関税を据え置く。
韓国の自動車メーカーと部品メーカーの輸出競争力が飛躍的に高まる。
まず、エンジン、変速機など大半の部品に対する関税(現行
2.7-19%)が撤廃され、欧州の自動車メーカーは韓国製部品の調達を増やすものとみられる。
自動車メーカーの輸出の伸びも見込まれる。既に強力なブランドを持ち、ウォン安の追い風を受けている現代自動車など韓国のライバル企業が一段と有利になる。
逆に、ドイツやフランスなどが強みとする精密化学、機械分野では、欧州製品の攻勢で韓国企業が打撃を受ける見通し。医薬品、医療機器などの輸入も増えるとみられる。
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韓国は、米国、日本、中国などに先立ち、EUとFTAを締結したこととなり、これらの国々との競争でも有利な立場を確保した。
韓国は米国との間でも、既にFTAを締結している。
但し、米国内に反対が強く、まだ批准されていない。
オバマ大統領は最近、韓米FTAが両国議会の批准を経て公式発効される前に、韓・EU間のFTAなどが先に始まる状況に対して懸念を表明した。一部米国議員の間から、韓米FTAも急ぐべきだとの声が上がった。
さらに、韓国は以下の国と地域との間でFTAを締結している。
チリ
シンガポール
欧州自由貿易連合(EFTA=スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドで構成)、
ASEAN10ヵ国
インド
韓国は、批准待ちの米国、EU及びEFTA、ASEAN、インド、及び南米のチリとFTAを結んだこととなる。
韓国政府は、今回の締結で、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」として、浮上する基盤を整えたとする。
これに対し、日本はASEAN及びそのメンバー以外でFTAを締結したのは、メキシコ、チリ、スイスのみ。
2007/8/24 日インドネシア経済連携協定の付記 参照
経済産業省によると、韓国がFTAを結んだか、実質的に締結した国との貿易量は全体の36%を占めるが、日本の場合は17%にすぎない。
しかもEU及び米国との間では、特に農産品が問題となり、FTAが結ばれる兆しは見えない。
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