米政府は10月12日、メキシコ湾で起きた大規模な原油流出事故を受けて実施していた深海油田の新規開発凍結措置を、予定より7週間早く解除すると発表した。
オバマ政権はBPの事故を受け、深海油田開発の安全性を確認するため、5月下旬に開発認可などを凍結、11月まで継続する予定だった。
サラザール内務長官は「原油およびガス業界は、厳しくなった新たなルールや監視の下で事業を行うことになる」との声明を発表した。
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シェブロンは10月21日、メキシコ湾のJack/St. Malo Project を開始すると発表した。
メキシコ湾の深海の古第三系プレイ(the Lower Tertiary trend)での最初の開発となる。
2006年9月にシェブロンは「メキシコ湾大水深のジャック2号井におけるテストで日量6,000バレル以上の出油に成功した」と発表した。
水深約7,000フィートの超大水深に位置し、掘削深度28,175フィートの大深度掘削井である。
(事故を起こしたBPの井戸は水深5,000フィート、掘削深度13,000フィート。)
ジャック油田を含めた古第三系プレイの可採埋蔵量は、将来的に30億~150億バレルに達する可能性があると報道されている。
古第三系プレイとは、古第三系のタービダイト成砂岩を貯留岩とする探鉱プレイ(探鉱対象のまとまり)で、メキシコ湾の超大水深に東西に広がる。古第三紀は約6,500万年前から約2,500万年前までの時代。
メキシコ湾における石油資源の時代別累計生産量(原油換算 百万バレル)
第四系
(258万8000年前~現在)完新統 0 0 更新統 13,759 33% 新第三系
(2,500万年~250万年前)鮮新統 10,755 25% 中新統 17,236 41% 古第三系
(6,500万年~2,500万年前)49 0 白亜系
(1億4550万年~6550万年前)49 0 ジュラ系
(1億9500万年~1億3500万年前)235 1%
詳細は http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/1/1601/200701_041a.pdf
Jack油田とSt. Malo油田は New Orleansの南280マイルのところの7,000フィートの深海にある。
合わせて原油換算5億バレル以上あると見込まれている。
Chevronは前者の50%、後者の51%の権益を有している。
前者は他に、Maerskが25%、Statoil が25%の権益を有する。
後者は、Petrobrasが25%、Statoilが21.50%、ExxonMobilが1.25%、ENIが1.25%の権益を有している。
当初の開発予算は75億ドルと見込まれている。
3つの海中のセンターを1つの製造設備に結び、日量170千バレルの原油と42.5百万立方フィートのガスを産出する。
2014年に生産開始の予定。
シェブロンは2009年にメキシコ湾で、日量149千バレルの原油、484百万立法フィートの天然ガス、14千バレルの天然ガス液を産出している。
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