中国、1~9月のレアアース輸出量が年間枠を超過

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中国商務省の姚堅報道官は1116日の記者会見で、今年19月のレアアースの輸出量が32,200トンに達したことを明らかにした。

中国政府は今年のレアアースの年間輸出枠を前年比約
4割減の約3万トン(30,258トン)に設定しており、9月までの輸出量が年間輸出枠を超過したことを示した。平均輸出価格は14,800ドル/トン。

輸出許可枠
  2009 2010 削減率
上期  25千トン  22千トン  
下期 25千トン 8千トン 7割 
年間 50千トン 30千トン 4割 

レアアースの対日輸出が中国の税関で滞っている問題で、11月13日の大畠経産相との会談で中国国家発展改革委員会の張平主任(閣僚級)が、税関検査を効率的かつ迅速に行うよう指示したことを明らかにし、近く改善するとの見通しを示した。
しかし、9月末時点で輸出許可枠を超過しているため、今後の輸出は認められないと思われる。

内訳は以下の通りで、日本向けは全体の50%を占めるとともに、前年比で167%もの増となっている。

  19月輸出量 比率 前年同期比
日本向け  16,000トン  49.8%  +167%
米国向け 6,200トン 19%  +5.5%
その他 10,000トン 31%   
合計 32,200トン 100%   

報道官は、レアアースの開発、輸出、生産の規制強化に関して、環境面の懸念からであると強調した。

中国は
2010年の輸出枠を前年比で4割カットしたが、開発は25%、生産能力は23%削減した。
加えて、レアアースの輸出税を
1525%加え、41種のレアアース加工製品の輸出を禁止した。

日本や米国からはWTOのルールに違反するとの声が出ているが、報道官は、中国はこれまで、環境保護の圧力が高まり、資源枯渇の恐れがあるのに、レアアースの輸出を続けてきたとし、「中国の規制は、開発、生産、輸出の全プロセスで取られており、WTOのルールに沿っている」と述べ、来年も輸出許可枠を減らす考えを示唆した。

商務部は11月初めに、2011年の大幅な輸出枠の削減は否定している。

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日本の在ジュネーブ国際機関代表部が、中国によるレアアース対日輸出が滞っている問題を10月のWTO会合で取り上げる準備をしていたところ、外務省が「待った」をかけ、発言を自粛していたことが分かった。

発言自粛には、日中関係のさらなる悪化で日本企業へのダメージが広がるのを防ぐとともに、当時横浜でのAPEC首脳会議を控え、胡錦濤国家主席との首脳会談に影響が及ぶのを避ける意図があったとみられる。


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