各社とも、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用し、セグメント区分を見直した。
「マネジメント・アプローチ」と呼ばれる方法で、企業が経営者の意思決定や業績評価に使用する情報に基づいてセグメント情報を開示することとなった。
必ずしも製品区分別ではないため、従来よりも企業間の比較が難しくなる。
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住友化学
基礎化学、石油化学、情報電子化学が回復、前期の赤字から黒字となった。
同社は本年4月に豪州農薬メーカー Nufarmに20%出資したが、同社の時価が大きく下落したため、のれん相当額を一時償却し、特別損失287億円を計上した。この結果、当期損益は25億円にとどまった。
(これは仮計上で、2011年3月末に時価が戻れば、取り消される。)
単位:百万円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比 億円
10/3 09/9中 10/9中 差異 11/3予 基礎化学 13 -18 101 119 195 石油化学 -2 -36 58 94 106 精密化学 36 8 20 12 15 情報電子化学 63 -41 171 212 260 農業化学 293 144 139 -5 225 医薬品 299 161 137 -24 135 その他 67 14 18 4 25 全社 -254 -121 -114 7 -240 合計 515 111 530 419 720
今回、セグメント区分そのものはほとんど変わらないが、全社費用(主に全社共通研究費)を配賦せず、別記した。
医薬品については 2010/11/4 注目企業の9月中間決算ー2 医薬メーカー 参照
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三菱ケミカルホールディングス
当期より三菱レイヨンを連結子会社とした。
これと、機能商品・素材分野の需要の回復で大増益となった。
年間の営業損益は2030億円の予想。
本年8月3日発表の三菱レイヨンの業績予想は以下の通り。
上期 売上高 2400億円、営業損益 120億円、経常損益 100億円、当期損益 25億円
年間 売上高 4700億円、営業損益 183億円、経常損益 153億円、当期損益 37億円
単位:百万円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比 億円
10/3 09/9中 10/9中 差異 11/3予 ケミカルズ 69 -26 219 244 440 ポリマーズ -224 -264 243 507 450 エレクトロニクス・アプリケーションズ -14 -25 32 58 40 デザインド・マテリアルズ 125 29 208 179 380 ヘルスケア 710 319 446 127 770 その他 62 26 6 -20 30 全社 -65 -38 -41 -2 -80 合計 663 21 1,114 1,093 2,030
セグメント区分名は同じだが、以下の変更がある。
従来のセグメント 新セグメント 無機化学品 エレクトロニクス・マテリアルズ デザイント・゙マテリアルズ 化学繊維(三菱レイヨン) - デザイント・゙マテリアルズ 肥料(三菱化学アグリ) 化学品 -(JV化)
三菱レイヨンを除く、ケミカルズ、ポリマーズの国内連結子会社の減価償却方法を定額法に変更した。
この結果、営業損益は75億円増加している。ヘルスケアについては 2010/11/4 注目企業の9月中間決算ー2 医薬メーカー 参照
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三井化学
自動車関連をはじめとする需要の回復に伴う販売数量の増加及び石化・基礎化学品分野における交易条件の改善などにより、増益となった。
単位:百万円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比 億円
10/3 09/9中 10/9中 差異 内訳 11/3予 数量差 交易条件 固定費他 石化 -34 -68 62 129 26 75 28 110 基礎化学品 -48 -50 65 115 26 76 13 120 ウレタン -21 -34 -43 -9 8 -5 -12 -60 機能樹脂 -44 -52 45 96 61 -3 38 75 加工品 8 -2 12 14 22 -5 -3 20 機能化学品 74 24 45 21 10 1 10 120 その他 11 10 1 -9 -9 全社 -41 -20 -13 6 6 -35 合計 -95 -190 174 364 153 139 72 350
従来の区分
機能材料 自動車・産業材(エラストマー)、包装・機能材(工業樹脂)、
生活・エネルギー材(機能加工品)、
電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、ウレタン樹脂原料先端化学品 精密化学品、農業化学品 基礎化学品 基礎原料(エチレン、プロピレン等)、フェノール、合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、
ポリエチレン、ポリプロピレンその他 その他関連事業等 今回からの区分
石化 エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン 基礎化学品 フェノール、ビスフェノールA、高純度テレフタル酸、ペット樹脂、エチレンオキサイド ウレタン ポリウレタン材料、コート材料、接着材料、成形材料 機能樹脂 エラストマー、コンパウンド製品、特殊ポリオレフィン、エンジニアリングプラスチック 加工品 衛生材料、半導体材料、エネルギー材料、包装用フィルム 機能化学品 眼鏡レンズ用材料、ヘルスケア材料、化成品、特殊ガス、触媒、農業化学品 その他 その他関連事業等
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旭化成
ケミカル事業が製品市況の上昇及び海外需要の拡大に伴い業績を大幅に伸ばしたことや、住宅事業やエレクトロニクス事業も好調に推移したことなどから、大増益となった。
単位:百万円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比 億円
10/3実 09/9中 10/9中 差異 内訳 数量差 売価差 コスト差他 ケミカルズ 261 115 373 258 50 345 -137 ホームズ 253 41 101 60 26 20 13 ファーマ 40 34 42 8 17 -27 18 せんい -28 -29 23 52 25 2 25 エレクトロニクス 72 28 107 79 127 -99 51 建材 12 6 11 5 -1 -4 10 Service & Eng 18 10 8 -2 -1 0 -1 全社 -53 -26 -30 -4 - - -4 合計 576 179 635 456 243 237 -25
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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