White Houseの原油流出事故調査委員会(The National Commission on the BP Deepwater Horizon Oil Spill )は11月8日、事故に関して、これまでのところ、BPがコストカットのために意図的に安全性を犠牲にしたという証拠はないと述べた。
この場合にはBPには重大な過失はないこととなり、Clean Water Actによる罰金が少なくなるほか、Anadarkoや三井石油開発への求償問題に影響する。
Clean Water Actでは原油の流出量1バレルに対して、1,100ドルの罰金が決められている。
但し、重大な過失による場合は、罰金は4,300ドルとなる。流出量が300万バレルとしても、過失無しの場合で罰金は33億ドル、重大な過失があるとされれば、129億ドルとなる。(500万バレルの場合、55億ドルと215億ドル)
2010/8/2 BP、油井完全封鎖へ
しかし、石油関係のアナリストは、業界内ではBPが手抜きをしたと見られているとしている。
Anadarkoは11月12日(上記発表の後)に投資家説明会を開催したが、同社は6月からの主張を維持し、原油流出は避けられたもので、BPの無謀な決定、行動の直接の結果であると主張した。
三井石油開発は、11月2日時点において累計で1,898百万米ドルの請求書を受領していることを明らかにしている。
同社は、今回の事故に関する事実関係・背景について多くの調査が現在も進行中であり、現時点で支払い義務を負うことになるか否かは明らかでないため、BPが求める支払いを留保してきたとし、これらの状況が続く間は、BPに対する支払いを留保し続けることになろうと予想しているとしている。
米国での報道によると、三井石油開発の香川社長が11月10日に、この事業に投資しているMOEX Offshore 2007 LLCは有限責任会社であり、同社の支払能力を超えた場合には、同社を破産させるため、三井石油開発への影響は限定的であると述べたとされる。
三井石油開発は三井物産が69.91%、政府(経済産業大臣)が20.03%を出資しており、三井物産の今後の米国での活動などを考えると、この主張を推し進めるのは無理であろう。
BPは被害への補償のため、油濁法の損害賠償限度額の権利を放棄している。
2010/10/20 BP、メキシコ湾原油流出事故で油濁法の損害賠償限度額の権利放棄を言明
三井物産では、鉱業権の評価損として21億円のほか、これまでの探鉱費用を費用処理しているが、BPからの求償分については、事故の原因究明などについて複数の調査が進行中で不確定要素もあるとして、債務の計上はしていない。
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