積水化学工業は11月18日、米国Genzyme Corporationとの間で、Genzymeが展開している検査薬事業の買収に関する契約を締結した。
Genzymeは1981年設立で、医薬品等の開発・製造・販売等を行っている。
今回譲り受ける事業の概要は以下の通り。
1)事業開始 1981 年
2)事業内容 生化学・糖尿病・感染症・免疫検査を中心とした臨床検査薬の開発・製造・販売
3)従業員数 575 名(予定)
4)主要拠点 米国:Framingham (Mass.)、San Diego (Cal.)、Exton(Penn)
カナダ子会社:Prince Edward Island (同州)
英国:West Malling(Kent州)
ドイツ子会社:Rüsselsheim(Hessen州)
5)売上高 167百万US$(2009年12月期)
6)譲受け価額 265百万US$
積水化学はGenzymeより、対象事業の子会社(カナダ、ドイツ)株式を含む本事業に関するすべての資産を譲り受ける。
米国では、Sekisui America が米国に新たに子会社を設立し、北米の資産(カナダの子会社株式を含む)を取得する。
欧州では、Sekisui Europe が英国に新たに子会社を設立し、資産を取得するとともに、Sekisui Europe がドイツ子会社株式を取得する。
事業の譲受けは本年12月末日の予定。
積水化学とGenzymeの検査薬事業部門は、1995年からコレステロール関連製品の欧米での販売で業務提携を開始した。
今回の案件については、Genzymeが5月に非中核3事業の売却方針を発表し、入札を経て買収が決まった。
Genzyme自身は現在、仏医薬品大手Sanofi Aventisから敵対的買収の提案を受けている。
2010/9/2 Sanofi-aventis、米Genzymeへの買収提案を公表
同社は11月8日、Sanofi Aventisに対し、取締役会が満場一致で1株69ドルの提案価格が安過ぎると考えていること、株主はこれを支持していること、Genzymeの価値を評価したものなら交渉するとしたレターを出している。
同社は業績が悪化しており、人員削減や事業売却を行っている。
9月13日にはGenetic Testing 事業(Genzyme Genetics)を925百万ドルで Laboratory Corporation of America (LabCorp) に売却する契約を締結した。
同社ではこれら事業売却で得た資金での自社株買いで、買収防衛対策をとる。
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積水化学は2006年10月、第一三共の完全子会社である第一製薬の100%子会社、第一化学薬品を買収した。
同社は、高機能プラスチックスカンパニーのメディカル事業部で展開する事業と、買収した第一化学薬品を2008年4月に統合し、積水メディカルとした。
事業内容は、検査薬、検査用具、医薬品、薬物動態事業。日本国内で販売している競争力のある製品群の積極的な海外展開による事業拡大を重点施策の一つとして掲げている。
検査薬事業
主力事業で、生化学、血液凝固、糖尿病、感染症の検査をメイン領域とし、臨床検査薬・分析装置の開発、製造、販売検査用具事業
世界で初めて実用化したプラスチック製真空採血管など、臨床検査用具の開発、製造、販売医薬事業
医薬品の活性成分である医薬原体(API)、医薬用アミノ酸、医薬中間体の受託製造と、独自の粘着テープ技術を応用した貼付剤の設計・開発薬物動態事業
医薬品開発の研究開発支援として、探索から申請、市販後調査までの各段階において、薬物動態に関連する各種評価試験を研究機関から受託
今回買収するGenzymeの検査薬事業は、1995年より生化学検査薬の販売や感染症検査薬の原料供給などにより、積水メディカル検査薬事業の欧米への売上拡大戦略の重要な役割を担ってきた。
積水メディカルでは、買収により長年培った事業提携をより強固なものとし、検査薬事業の海外展開を更に推進する。
買収の狙いは以下の通り。 | |
① | 重点領域強化 積水メディカルの検査薬事業では、5つの重点領域(生化学、血液凝固、糖尿病、感染症、先端技術)を定め、事業展開をしていまる。 Genzymeの検査薬事業は、生化学・糖尿病・感染症領域に強みを持っており、同社の製品・技術を活用することにより、積水メディカルの重点領域のさらなる強化が期待できる。 |
② | 海外販売網の活用 Genzymeの検査薬事業が持つ欧米販売拠点や営業スタッフを活用。 |
③ | 海外生産拠点の獲得 Genzymeの検査薬事業は、領域ごとに専門の工場を保有しており、積水メディカル製品の欧米での現地生産も視野に入れる。 |
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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