BASFは12月17日、ベルギーと米国の高吸水性樹脂の能力を増強すると発表した。
ベルギーのAntwerpと米国のFreeportのプラントをデボトルネッキングなどで2012年までにそれぞれ35千トン増強し、同社の合計能力を年産47万トンとする。
付記
BASFは2011年8月19日、ブラジルのCamaçariに5億ユーロ以上を投じて、アクリル酸、ブチルアクリレート、SAPプラントを建設すると発表した。能力は明らかにしていない。アクリル酸とSAPは南米で初めての工場となる。
原料プロピレンはBraskemから供給を受ける。このほか、既存のGuaratinguetá, São Pauloのコンプレックスで 2-ethyl-hexyl acrylateを製造する。
BASFの高吸水性樹脂の主工場はAntwerpとFreeportで、ほかにドイツのMannheim とタイのRayongにもプラントを持つ。
世界中の需要家に供給、技術サービスセンターを米、独、タイと中国の上海に置いている。
同社の能力は以下の通り。(単位:千トン)
なお、BASFは他に、SinopecとのJVのBASF-YPC(南京市)で60千トンのプラントを建設中。
過去 現状 増強後 欧州 Antwerp 115 175 210 Mannheim 25 25 25 米国 Portsnmouth,VA 115 - - 元Clariant Aberdeen, MS 65 - - 元Chemdal Freeport,TX - 180 215 タイ Rayong 20 20 20 元Chemdal 合計 340 400 470 中国JV 南京(BASF-YPC) - - 60 再計 340 400 530
付記
BASFは2011年10月11日、ブラジルのCamaçariに60千トンプラントを建設すると発表。生産開始は2014年末。
BASF-YPCのプラントは2014年初めスタート。
更にマレーシアのKuantanでの生産をFS中。
BASFは1998年にClariantの吸水性樹脂事業を買収、Portsnmouth,VAの115千トンのプラントを引き継いだ。
Clariantは1997年にHoechstのスペシャルティ事業を統合した際に吸水性樹脂を持ったが、原料のアクリル酸がHoechstに残った為、原料遡及が出来ず、効率もよくなかったので売却した。
BASFは2000年に米国 AMCOLの子会社 Chemdal の吸水性樹脂事業を買収した。
ChemdalはAberdeen, MSに65千トンのプラントを持ち、タイにプラントを建設していたが、BASFがこれを引き継いだ。
2002年にアントワープ工場を建設した。
2007年10月にFreeportの18万トンプラントが操業を開始し、これに伴い、米国の2工場が閉鎖された。
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日本触媒は世界の主要SAPメーカーの生産能力を以下の通りとしている。(11/5決算説明会資料)
(筆者の数値と若干異なる。日本触媒以外の社名は筆者の推定)
日本触媒の能力は以下の通りで、現在世界のトップ。
姫路 320千トン 米国 60千トン NA Industries ベルギー 60千トン Nippon Shokubai Europe 中国 30千トン 日触化工(張家港)有限公司 合計 470千トン
日本触媒は当初、欧州ではBASFと提携し、年産24千トンの高吸水性樹脂を生産委託していたが、その後、提携を解消した。
これに伴いBASFとの折半出資の販売子会社であったULTRASORB Chemikalien を1999年に100%子会社化し、2001年にアントワープに自社工場を稼動させた。
BASFは現在400千トンだが、中国を含めた増設後は530千トンとなり、日本触媒を上回ることとなる。
Evonik(元Degussa)の現在の能力は406千トンとされている。
同社(当時はHuls)は1991年にStockhausen を買収した。米国(75千トン)、ドイツ(85千トン)、合計160千トンの能力を有している。
2006年2月にDegussa はDowの高吸水性樹脂事業を買収した。
Dowのドイツのプラント(80千トン)を取得、米国のプラント(75千トン)ではダウに製造委託を行う。これら取得時の能力は315千トンだが、その後増強している。
住友精化
姫路 110千トン シンガポール 60千トン Sumitomo Seika Singapore フランス 20千トン Arkema から高吸水性樹脂事業を買収、Arkemaに製造委託 合計 190千トン
サンダイヤポリマー
名古屋 105千トン 大垣 20千トン 中国 20千トン 三大雅精細化学品(南通)有限公司 合計 145千トン
国内メーカーの状況については、2009/9/26 高吸水性樹脂業界の動き
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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