BPは11月28日、アルゼンチン最大の原油輸出企業のPan American Energyの持株(60%)を、残り40%を保有するBridas Corporationに売却する契約を締結したと発表した。
Bridasは対価として70.6億ドルを現金で支払う。うち35.3億ドルを前払いとして12月に2回に分けて支払い、残りを2011年前半に予定される取引完了時に支払う。
売却は2011年末までに300億ドル分の資産を売却するとした本年6月のBPの計画の一部である。本件売却までに既に合計140億ドルの売却の契約を締結している。今回の取引を含めると、210億ドルとなる。
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BPではパキスタンのガス田の売却先を探しており、他に、アラスカ油田とアルジェリアの権益の売却を検討している。
BPとApache はBPの米アラスカ州Prudhoe Bayの油田権益の半分を含む資産を120億ドルで売却する交渉を行っていると伝えられていた。
関係者によると、プルドー湾の油田権益については、資産価値の評価や現在および将来に法的責任を問われた場合の対応などをめぐり、7月18日に交渉が暗礁に乗り上げたという。
この結果、上記の通り、Apache に対し、総額70億ドルで、テキサス州とニューメキシコ州南東部にまたがるパーミアン盆地の油田、西カナダの天然ガス、及びエジプトの西砂漠油田とEast Badr El-din 油田を売却した。付記
BPは12月14日、ほとんど全てのパキスタンの権益を中国のUnited Energy Group Limited (連合能源集団)に775百万ドルで売却する契約を締結した。
売却するのは同国南部のSindh provinceの9つのブロックと、アラビア海の4つの海上ブロックのすべての資産。
現在の生産量は原油換算日量35千バレルで、原油が日量10千バレル、ガスが2億standard cubic feet。連合能源集団は香港上場の投資持株会社で、原油・ガスの生産を行っている。
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Pan American Energyは南米最南端(Southern Cone)地域で原油・ガスの開発、生産を行っている。事業の中心はアルゼンチンで、同地で第二位のメーカー。他に、ボリビアとチリで活動している。
ボリビアの子会社PAE E&P Boliviaは今回の取引には含まれていない。
2009年末時点での同社の確認埋蔵量のうちのBP持分(60%)は917百万バレル(原油換算)で、生産量のうちのBP持分は日量143千バレル(同)となっている。
Pan American EnergyはBPが60%、Bridas Corporationが40%を所有する。
Bridas CorporationはアルゼンチンのCarlos Bulgheroni氏傘下のBridas Energy Holdings の子会社であったが、2010年3月に中国のCNOOCがBridasの株式50%を31億ドルで購入、現在は、Bridas Energy Holdingsが50%、CNOOCが50%となっている。
中国勢の海外進出は急で、CNOOCは本年3月のBridasへの出資でPan American Energyの20%を得たが、1年も経たずに50%まで所有を引上げることとなる。
Bridas Energy HoldingsとCNOOCは必要資金の70%(24.7億ドルずつ、計49.4億ドル)を負担する。残り21.2億ドルは借り入れるか、又は両社からの追加支出で賄う。
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BPは原油流出事故の費用の確保のため、優先度の低い事業の売却を進める一方、新しい権益の確保も行っている。
同社は11月26日、インドネシアのパプア州の北アラフラ石油・ガスの権益を取得したことを発表した。
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