カタールでLNGの増産工事が完了、国家目標としてきた年産7700万トン体制が完成した。本年2月のRasGas の第7系列780万トン完成に続き、Qatargasの第6、第7系列、各780万トンが完成した。
同国のLNG生産能力 は2008年末と比べ2.5倍となり、世界のLNG生産能力の約3割を一国で握る。
12月13日に生産設備がある工業都市ラスラファンで祝賀式典を行い、ExxonMobil、Shell、ConocoPhillipsなど大手エネルギー企業のCE0や、Qatar産LNGを輸入する中部電力など日本企業の首脳級も多数出席した。
カタールは1996年にLNG生産を開始した。単一鉱区としては世界最大級のNorth Fieldガス田から産出する天然ガスを液化、2006年にインドネシアを抜いて世界最大の生産国となった。
2008年末の生産能力は年3,000万トンだったが、09年から10年に大型プラントが相次ぎ稼働、残っていた2系列の設備が完成した。
日本は世界最大のLNG輸入国で、カタールからも電力・ガス会社が全輸入量の12%に相当する800万トン(2008年、スポット取引含む)を輸入している。プラント建設や海運、商社、銀行など広範な分野でも日本企業がカタールのLNG事業に関与している。
1992年に中部電力がQatargasとの間でLNG 400万トンの売買契約を締結、1994年に他の電力・ガス会社7社が200万トンの売買契約を締結した。
8社は「カタールLNGプロジェクト」で輸送船10隻を就航させ、1997年1月に第一船、2000年8月に第10船が入港した。千代田建設が1998年完成のQatargas 1(第1~3系列)、2001年受注の同プラント増強工事、RasGas第3・第4系列に続き、その後、Qatargas 2(第4、5系列)、Qatargas 3(第6系列)、Qatargas 4(第7系列)などほとんどのプロジェクトの基本設計業務を実施している。
同社は1976年にアブダビに年産100万トンクラスのLNGプラントを建設して以来、35年以上にわたり数多くのLNGプラントを設計・建設している。
ガス田 North Field LNG基地 Ras Laffan
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LNGはいずれもQatar Petroleumのプロジェクトで、内訳は以下の通り。
計画名 | 系列 | 能力 | 出資者 | |
Qatar Petroleum |
その他 | |||
Qatargas 1 | 1 | 320万トン* | 65% | ExxonMobil 10% Total 10% 三井物産 7.5% 丸紅 7.5% |
2 | 320万トン* | |||
3 | 320万トン* | |||
Qatargas 2 | 4 | 780万トン | 70% | ExxonMobil 30% |
5 | 780万トン | 65% | ExxonMobil 18.3% Total 16.7% | |
Qatargas 3 | 6 | 780万トン | 68.5% | ConocoPhillips 30% 三井物産 1.5% |
Qatargas 4 | 7 | 780万トン | 70% | Shell 30% |
合計 | 4,080万トン | |||
RasGas (Ras Laffan Liquefied Natural Gas) |
1 | 330万トン | 70% | ExxonMobil 30 % |
2 | 330万トン | |||
3 | 470万トン | |||
4 | 470万トン | |||
5 | 470万トン | |||
6 | 780万トン | |||
7 | 780万トン | |||
合計 | 3,630万トン | |||
総合計 | 7,710万トン | |||
なお、LNGに副生するコンデンセートを原料とするRefineryがある。 | ||||
Laffan Refinery | Naphtha 61,000 bpsd Kerojet 52,000 bpsd Gasoil 24,000 bpsd LPG 9,000 bpsd |
51% | ExxonMobil 10% Total -------10% 出光興産 10% コスモ石油 10% 三井物産---- 4.5% 丸紅 4.5% |
* Qatargas1 の3系列の当初能力は各 200万トン。2005年にdebottlenecking。
bpsd=barrel per stream day(フル能力1日当たり)
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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