ロシアの肥料会社OAO Uralkali は同じくロシアのライバルのOAO Silvinit を買収することで合意した。カナダのPotash Corporation of Saskatchewan(PotashCorp) に次ぐ肥料会社となる。
Otkritie Financial CorpからSilvinit の20%を14億ドルで買収、その後、残りの株を64億ドル(現在の株価)相当のUralkaliの新株と交換で取得する。合計で78億ドルでの買収となる。2011年5月の合併を目指す。
ロシアの億万長者のSuleiman Kerimov とパートナーが、本年7-8月に両社の合併を目指して両社の株のマジョリティを取得した。
両社が合併すれば、世界のカリの生産の17%を占め、Potashに次ぐ世界第二位のメーカーとなる。
両社はウラル山脈の近くのPermのVernekamskoye deposit(世界第二の埋蔵量)に鉱山を持っている。
両社は肥料需要の回復を受け、本年上期に生産量を倍増Uralkali が242万トン、Silvinitが 257万トンを生産した。
2010年の能力の合計は1060万トンで、Potash CorpとミネソタのMosaic Co に次ぐ。2012年には能力を240万トン拡大する。
BHP Billitonは8月にPotashCorpに対し、全株のTOBを行うと発表したが、カナダ政府が反対し、BHPは11月15日に敵対的TOB提案の取り下げを発表した。
2010/8/23 BHP Billiton、カナダのPotashCorpに敵対的TOBMosaicは2004年にCargillの肥料部門と IMC Global とが合併して設立された。
カリとリン酸が主製品。
カリの能力は1040万トン。カナダと米国で操業、45%を北米で販売、残りを輸出している。
リン酸では最終製品の世界最大のメーカーで、能力は1030万トン、他の三大メーカーの合計よりも多い。
カリウムは2007~08年の世界食料危機の際に投資家から注目され、価格が急上昇した。
世界金融危機を受けて農民が肥料の使用を減らしたため、2008年からは下落していたが、再び上昇に転じている。
世界の8社のカリ・メーカーが市場を支配し、価格引き上げを図っている。
Financial Timesによると、各社は数十年にわたり2つの販売会社を通じて輸出してきた。
合法的ながら事実上のカルテル組織で、毎年、輸入国(中国が1位でインド、ブラジルがそれに続く)と秘密裏に交渉してきた。
一つはCanpotexで、株主はカリ・メーカーのPotashCorp、Mosaic、Agrium Inc.で、各社の製品を輸出している。
もう一つはBelarusian Potash Co.で、Uralkali やベラルーシのBelaruskaliの製品を扱っている。
Silvinitは現在、International Potash Co. を通して輸出しているが、一定期間を置いてBelarusian Potash に切り替える。
中国、インド、ブラジルといった購買国に対するロシア・ベラルーシ連合の力は一段と高まるとみられる。
中国はカリの今後の輸入を懸念している。
BHP BillitonによるPotashCorpの敵対的TOBに対し、Sinochem子会社で、PotashCorp が22%を出資する中国の肥料輸入販売会社SinofertがBHPの買収を図ったが、諦めた。
2009年の生産量、埋蔵量は以下の通り。(U.S. Geological Survey)
リン鉱石 | カリ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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参考 2010/12/4 中国財政部、肥料に輸出税
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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