DSMとロシアのKuibyshevAzot OJSC (KA社)は1月20日、戦略的提携を発表した。
両社はロシアに次の2つのJVを設立する。
①PA6のコンパウンドとフィルムの(ロシア、CISでの)マーケティングと販売のJV
DSM Engineering Plastics が51%出資
②TogliattiにあるKA社のコンパウンド工場をJV化する。
DSM Engineering Plastics が80%出資
(これにより、DSMはロシア、CISで製造する最初の欧州のPA6メーカーとなる。)
合わせて、KA社はDSMからシクロヘキサノンの製造技術のライセンスを受ける。
最新技術導入により、TogliattiにあるKA社のカプロラクタム工場に適用、能力増強を図る。
DSMは15年間、ライセンス収入を得るとともに、増産分の一部の引取権の交渉をするとしている。
参考 シクロヘキサンー(酸化)→シクロヘキサノン→カプロラクタム→PA6
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PA6を中心とするEngineering plastics はDSMのコア事業の一つ。
DSMは2010年2月に、三菱化学との間で、DSMのPC事業と三菱化学のナイロン事業の交換契約で合意している。
2010/3/3 三菱化学、DSMとの高機能樹脂事業における事業交換契約に合意
DSMは2007年に新しい戦略 Vision 2010 :Building on Strengths strategy を発表した。
Life Sciences と Materials Sciences へのシフトを進めるとし、非コア事業の処分計画を進めるとともに、コア事業では買収と提携を検討するとした。
2007/10/3 DSMの経営方針
2011/1/5 DSM、Martek Biosciencesを買収 再構築をほぼ完成
今回の提携はこれに沿ったもので、同社ではロシアでのPA6の需要は今後5年で倍増すると見ている。
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KA社は2つの事業を行っている。
・カプロラクタム、PA6、ヤーン、Tire cord fabric
・アンモニア、窒素肥料
生産実績は以下の通り。 (単位:千トン、シェアは2007年)
2000 | 2009 | 売上高 シェア |
||
Caprolactam | 105 | 175.3 | 34% | 1974年スタート ロシアのシェア 50% |
Polyamide | - | 86.6 | 25% | 2003年スタート ロシアのシェア 57% |
Technical yarn | - | 6.3 | 2004年スタート | |
Tire cord fabric | - | 5.1 | 同上 | |
硝安 | 299.8 | 500.5 | 33% | ロシアのシェア 5% |
尿素 | 193.0 | 312.6 | ||
硫安 | 307.9 | 448.4 | ||
アンモニア | 530.6 | 556.9 | 2% | |
その他 | 6% |
2009年の売上高は16,039百万ルーブル(540百万ドル)。
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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