BPは2月1日、2010年の決算を発表した。
事故損失を409億ドル計上した結果、37億ドルの損失となった。但し、事故関連を除く損益は243億ドルで、前年を77億ドル上回っている。
合わせて、以下の発表を行った。
・事故を受けて停止していた配当を再開、2010年第4四半期分として1株当たり7セントの配当を行う。
原油流出前の四半期配当額は、14セントだった。
・今後、安全を優先、改めて、今回の事故及びTexas City 製油所事故の損害賠償責任を果たすことを確認。
・米国の製油所能力の半分を処分する。Texas City とCarson(カリフォルニア州)製油所を2012年末までに売却する。
・2011年末までに300億ドルの資産を処分する計画は順調で、2010年末までで220億ドルを処分した。
・一方で、ブラジル、南中国、インドネシア、アゼルバイジャン、英国で新しい鉱区を得た。(2011年に入り、豪州と現在認可待ちのアンゴラも)
・1月に入り、ロシアのRosneft と提携した。JVのTNK-BPも陸上油田の開発を進める。
(TNK-BPのロシア株主がBPとRosneftの提携交渉の停止を求めて訴えたことに関し、BPは調停にかけることを考えていると発表した)
・2011年の投資は200億ドルを見込む。2009年の182億ドルよりも増やす。
決算内容は以下の通り(単位:百万ドル)
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* Others:代替エネルギー、輸送、アルミ、余剰資金運営利息、一般管理費 |
事故関連損失は以下の通り、引当金を積み増した。(単位:百万ドル)
今までの現金支出は17,700百万ドルとなった。
第2四半期 32,192 第3四半期 7,656 第4四半期 1,010 合計 40,858
上記には昨年6月16日のオバマ大統領とBP首脳陣の会談で、BPが約束した200億ドルの基金を含んでいる。
同社は米国油濁法(Oil Pollution Act of 1990:OPA 90)で決まっている損害賠償の75百万ドルの限度規定を放棄することを発表しているが、現在の判断で、この200億ドルの基金で充当可能とみている。
同社では権益保有2社Anadarko Petroleum と三井石油開発子会社のMOEX Offshore 2007 LLC に対して事故損失の負担を請求している。
今回の発表で、1月25日現在で2社に60億ドルを請求していると述べている。
三井物産は昨年10月に、子会社の三井石油開発(の子会社MOEX)がBPから請求されている費用が1,898百万ドルであることを明らかにした。
これに基づくと、Anadarko分と合わせると、求償額は6,643百万ドルとなる。付記
三井石油開発は2月2日、昨年12月末までの事故関連費用のうち、本事故に関連して支出された、同社権益相当分費用は約1,600百万ドルと想定していると発表した。上記三井物産発表との関連は不明。今回の事故に関する事実関係・背景について多くの調査が現在も進行中であり、現時点で支払い義務を負うことになるか否かは明らかでないため、BPが求める支払いを留保しており、今後も、これらの状況が続く間は、BPに対する支払 いを留保し続けることになろうとしている。
BPは2社は現在支払いを保留しているが、契約上、回収可能と見ている。
なお、BPの決算では、事故損失 40,858百万ドルに対して12,894百万ドルの税金減免を計算している。
即ち、全額を損金とみなし、一般の利益(及び将来の利益)の税金を減らしている。
第2四半期決算で同様の処理をしていたが、これに対し米国の議員が、罰金を損金として税金を減らすのを批判した。
少なくとも、Clean Water Actに基づく罰金(流出量400万バレルとすると、過失なしで44億ドル、過失ありで172億ドル)については問題となろう。
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