GlaxoSmithKline、決算で多額の法務コストを計上、大幅減益

| コメント(0)

GlaxoSmithKline23日、2010年の決算を発表した。(単位:百万ポンド)

  2008 2009 2010
売上高 24,352 28,368 28,392
 
一般営業損益 9,493 10,441 9,794
Legal charge -611 -591 -4,001
Major restructuring -1,118 -832 -1,345
本社損益ほか -623 -593 -665
営業損益合計 7,141 8,425 3,783
 
税引後損益 4,602 5,531 1,634

2010年の売上高は、2009年とほぼ同じで、通常の営業損益も若干の減少であるが、40億ポンドの法務費用を計上したため、リストラ費用と法務費用、本社費用を控除したネットの営業損益は前年の8,425百万ポンドから3,783百万ポンドに55%の減となった。この結果、税引き後損益も前年の5,531百万ポンドから1,634百万ポンドへと激減した。

同社はProduct liability、知財、税務、独禁法、販売慣行に関する米国政府の調査等、多くの法的問題を抱えている。

法務費用は2008年の611百万ポンド、2009年の591百万ポンドから、2010年は4,001百万ポンド(約5300億円)へと急増した。
2010年第4四半期に22億ポンドを引き当てた。

主たるものは、米国での販売慣行に関する米司法省コロラド支部の調査と、2型糖尿病治療薬rosiglitazone(商品名:Avandia)のproduct liabilityに関するものである。

司法省は、同社の安値販売(nominal pricing)について、Medicaid関連法に違反するかを調査している。

1990 Medicaid Drug Rebate Programでは最低価格の報告を義務付けているが、チャリティや政府施設への安値販売(nominal pricing)は除外される。
これを利用して、秘密裏に(報告なしの)安値販売をしてシェアを拡大する慣行が問題視された。

2008年にMerckは違反を認め、650百万ドルを支払った。

Avandia に関してはProduct Liability 訴訟が続出している。

2007年に医学雑誌に、Avandiaが心循環リスクを増加させるとの論文が掲載された。

欧州医薬品庁(EMA)は2010年9月、Avandiaの回収を命じた。FDAも同日、Avandiaの販売を厳しく制限する方針を発表、これを受け、グラクソは、すべての市場でAvandiaの販売促進活動を停止すると表明した。

同社は2010年10月、プエルトリコ工場での欠陥薬品製造問題で有罪を認め、7億5000万ドルを支払って和解することで米司法当局と最終合意した。

プエルトリコ・シドラ工場で2001~05年に抗うつ剤パキシルなどの欠陥品を生産したことによる。
この工場で生産されたパキシル(錠剤)は割れたり、有効成分の量が不適切だったりして、患者の命にかかわる危険性があった。同社は同工場を閉鎖した。7億5000万ド ルのうち約1億5000万ドルは罰金。

このほか、2社が同社の特許を無効として、後発薬の申請を行い、同社が訴訟を起こしている。


目次、項目別目次

http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


コメントする

月別 アーカイブ