INEOS とSinopecはこのたび、南京に年産40万トンのフェノール工場を建設するJVについての覚書を締結した。
INEOS Phenol とSinopec Yangzi Petrochemical (揚子石化)が南京の南京化学工業区にフェノールとアセトンのJVのフレームワークで覚書を結んだもの。
両社は2009年12月にJV設立を検討する覚書を締結しており、今後、JVの詳細を協議する。
2010/1/7 INEOSとシノペック、南京にフェノールJV設立を検討
JVはSinopecの原料とINEOSのフェノール技術を利用する。
能力はフェノールが40万トン、アセトンが25万トンで、中国最大のプラントとなる。
南京は中国のフェノールとアセトン双方の最大の市場。
現在のところ、2013年末の完成を目指している。
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INEOS Phenolは2001年にPhenolChemie を買収して改称した。
PhenolChemie は1952年にドイツに設立された。
株主はBergwerksgesellschaft Hibernia AG、Scholven Chemie AG、Rütgerswerke AG、Bakelite GmbH の4社。
前2社は1961年にVEBA Chemie AGに統合された。1979年にVEBAは持株(50%)を Hüls AGに譲渡。
1994年にHüls AGはPhenolChemieを100%子会社とした。
(Hüls AGは1998年に Degussa AGと合併、Degussa-Hüls AGとなる。その後、Evonikと改称。)
同社の能力は以下の通り。
立地 | Phenol | 原料 Cumene | 副産品AMS (αMethyl-Styrene) | ||
Gladbeck, Germany | 650千トン (1系列で最大) |
1954年スタート (8千トン) |
60千トン | ||
Marl, Germany | 250千トン | 2005年買収 (BPから) |
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Antwerp, Belgium | 680千トン (世界最大) |
1993年スタート (200千トン) |
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Mobile, Alabama | 540千トン | 2000年スタート (400千トン) |
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Port Arthur, Texas | 500千トン | 2005年買収 (Chevron Phillipsから) |
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Total | 1,870千トン (アセトン1,150 千トン) |
750 千トン | 60 千トン | ||
南京 | 400千トン (アセトン 250千トン) |
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再計 | 2,270千トン (アセトン 1,400千トン) |
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三井化学は2009年11月、シノペックとの間でフェノールの合弁事業に向け基本合意、12月に「フェノール及びアセトンの新設プロジェクトに関する覚書」を締結した。
三井化学 50%、Sinopec 50%の上海中石化三井化工に、上海中石化高橋分公司のフェノール125千トンを移管するとともに、250千トンのプラントを新設する。
2009/11/4 三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意
三井化学はこれにより、誘導品事業(ビスフェノールA、MIBK)を含めたフェノール事業で世界トップを目指すとした。
1位:Ineos Phenol (誘導品なし):187万トン
2位:三井化学:フェノール92万トン、誘導品54万トン、合計146万トン→184万トン
3位:Solutia:フェノール86万トン、ビスフェノールA 11万トン、合計97万トン
但し、INEOS Phenolの南京計画が完成すると、また、差がつくこととなる。
三井化学のフェノール能力は以下の通り。
千トン | |||
大阪 | 200 | ||
市原 | 190 | ||
Mitsui Phenols Singapore | 300 | 三井化学 95%、三井物産 5% | |
千葉フェノール | 230 | 三井化学55%、出光興産45% | |
合計 | 920 | ||
上海中石化三井化工 | 移管 | 125 | 三井化学 50%、Sinopec 50% |
新設 | 250 | ||
合計 | 375 | ||
再計 | 1,295 |
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各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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