Sanofi-Aventisは2月16日、遺伝性疾患治療薬で世界最大手の米Genzyme Corporation を現金約201億ドル(1株74ドル)で買収する契約を締結した。
株主は現金に加えContingent Value Right (CVR:不確定価額受領権) を受け取り、新薬Lemtradaの開発が進んだ場合、または2011年に他の2つの新薬の生産数量が一定レベルに達した場合に、追加の支払いを受ける。
合計6つの基準があり、1株当たり1ドルが2件、2ドルが1件、3ドルが2件、4ドルが1件となっている。
権利は、2020年末か、4つの基準が達成された時の、いずれか早い時期に終了する。
権利は売買可能となっている。
取引は両社の取締役会の承認を受けており、第2四半期中に完了する見込み。
既にEUと米国の独禁法当局から承認を得ている。
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Sanofi-Aventis は2010年8月29日、Genzymeに対する185億ドル(1株当たり69ドル)の買収提案を公表した。
Sanofi-Aventisは7月29日にGenzymeに対し非公開で買収を提案した。
しかし、協議に入れないため、Genzymeの株主に提案を説明するため公開したとしている。
買収を完了させるために「あらゆる選択肢を検討する」としており、敵対的買収も辞さない構えを示した。
2010/9/2 Sanofi-aventis、米Genzymeへの買収提案を公表
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Genzyme は業績が悪化しており、人員削減や事業売却を行っている。
9月13日にはGenetic Testing 事業(Genzyme Genetics)を925百万ドルで Laboratory Corporation of America (LabCorp) に売却する契約を締結した。
11月18日には積水化学に対し、Genzymeが展開している検査薬事業を売却する契約を締結した。
2010/11/24 積水化学、米国Genzyme Corporation の検査薬事業を買収
同社ではこれら事業売却で得た資金での自社株買いで、買収防衛対策をとった。
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Sanofi-Aventis は10月4日、1株69ドルでGenzyme の全株のTOBを開始した。
Genzymeは11月8日、Sanofi Aventisに対し、取締役会が満場一致で1株69ドルの提案価格が安過ぎると考えていること、株主はこれを支持していること、Genzymeの価値を評価したものなら交渉するとしたレターを出している。
Sanofi-Aventisは、TOBに期限を12月10日としていたが、不成功に終わり、2011年1月21日まで延長した。
GenzymeはTOB不成功を受け、自社の主張が正しかったと述べている。
その後、両社は話し合いを続けた。
2011年1月に入り、両社の評価額の差を解決するための手段としてContingent Value Rightを採用する可能性の検討を始めている。
1月31日はGenzymeはSanofi-Aventisに対して、due diligenceの実施を認めた。
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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