ロシアの天然ガス開発で、BPの撤退とTotalの進出が同時に発表された。
1)東シベリアガス田権益、ガスプロムが取得
ロシアのGazprom が、BPのロシア合弁のTNK-BPが保有していた子会社の資産を711百万ドルで取得した。
TNK-BPが発表した。.
TNK-BPが62.9%出資しているRUSIA PetroleumはKovykta天然ガス田の開発権を持ち、対中輸出を計画していたが、政府がGazpromのガスパイプラインを同社に開放する案を取り消したため、輸出を阻まれ、2010年6月に破産を申請、10月に自己破産した。
このRUSIA Petroleumの資産競売でGazpromが落札したもので、711百万ドルの落札価額は入札のスタート価額より50%以上高い。
2007年に当時のPutin大統領のロシアの石油・天然ガス資源のコントロール確保方針により、GazpromはRUSIA Petroleumの買収交渉に入ったが、折り合いがつかず、買収方針を撤回していた。
Kovyktaガス田は1970年代後半に発見され、1987年に開発が開始された。
イルクーツクの北東400km、バイカル湖北端の西側にあり、埋蔵量は2兆立方メートル。
RUSIA Petroleumはイルクーツク州の石油・ガス開発のため1992年に設立された。
株主は、TNK-BPが62.9%、OGK-3が24.99%、イルクーツク州政府が10.78%となっている。
なお、今回はBPの資産を政府の権限で(輸出を不可能にすることで)取り上げる結果となったが、ロシア単独では掘削が不可能な北極海大陸棚のSouth Kara Sea(下の地図参照)の深海油田開発ではRosneft はBPとの戦略的提携を行っている。
2011/1/17 BP、ロシアのRosneft と戦略的提携
---------------------
2)Total、ロシアガス大手と提携
Totalは3月2日、Putin首相の立会のもと、ロシア天然ガス2位のNovatekとの間で、ロシアのヤマル半島のガス田開発での資本・業務提携契約に調印した。
TotalはNovatek子会社でヤマル半島でLNGの開発をしているYamal LNG に20%出資する。Novatekは51%出資となる。
Totalはまた、Novatek本体に12.08%を出資、12か月以内に15%に、36か月以内に19.40%に出資を増やす。
Novatek株の12%は大株主2社から購入するが、金額は40億ドル程度となる。
Yamal LNG はYamal半島のSouth Tambey ガス田を開発する。推定埋蔵量は1兆2500億m3で、年間1500万トンのLNGの生産が可能。
LNG基地を含む投資額は200億ドルとされる。
Novatekは2010年7月に、このガス田の権利の49%を5~6社の外国企業に売却する考えを明らかにしている。
Totalは20~25%の権利取得の考えを表明していた。
Totalのほか、Shellを含むいくつかの企業が関心を示していた。
Totalは今回の契約(20%の権益)で、今後10年間、原油換算で日量9万バレルを得る。
Novatek はロシア最大の独立ガスメーカーで、国内市場の約10%を供給する。
2010年の生産量はコンデンセートを含み原油換算で日量75万バレルで、大ガス田を5~6か所持っている。
TotalとNovatekは2009年からTermokarstovoyeガス田を共同で開発している。
Total は1989年以来、ロシアに進出している。Nenets自治州のKharyaga ガス田に40%の権益を持ち、オペレーターとなっている。
Phase 3の開発計画が2007年に承認され、2010年のTotalの生産持分は原油換算日量1万バレルとなっている。
2007年7月には、TotalはGazpromとの間で、 Barents SeaのShtokman 巨大ガス・コンデンセート田のPhase1の開発契約を締結した。
2008年にTotalが25%出資するShtokman Development AG が設立された。Phase1は年間237億m3の生産を行う。約半分がLNGの形で輸出される。
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
コメントする