新日鐵化学と昭和電工は3月24日、新日鐵化学大分製造所の芳香族事業(スチレンモノマーおよびベンゼン、トルエン、キシレン)を母体とする共同事業会社「NSスチレンモノマー(仮称)」を設立し、両社の合弁事業として運営することで合意したと発表した。
新日鉄化学が新設分割で同事業を承継する会社を設立し、その株式の49%を昭電に譲渡するもので、会社設立は8月1日を予定している。
事業の内容は以下のとおり(能力:千トン)で、昭電は現在、同事業に分解ガソリンとエチレンを供給している。
JVはベンゼン、トルエン、キシレンとスチレンモノマーの製造・販売を行う。
なお、ジビニルベンゼンについては、従来通り、新日鐵化学の事業とし、JVが製造を受託する。
今回の共同事業化は、原料から製品に至る垂直連携と、設備改善の実施などにより本事業を強化し、中国をはじめとするアジア市場への輸出競争力の向上および、国内市場への安定供給体制の整備を図るものであるとしている。
但し、プラントは新日鉄化学の工場内にあり、JVは新日鉄化学の連結子会社(51%を保有)であり、実態は現在と変わらないと思われる。
昭電は早くにPSから撤退しており、SMの需要を持たない。
同社は実は、一時このSM事業に出資していたが、撤退している。(下記)
SMは生産量の半分が輸出であり、先行きに懸念がある。三菱化学は3月末に鹿島のSMを停止し、撤退する。
しかし、昭電にとっては、JVへの参加は、将来もエチレン需要を繋ぎ止めるための担保となる。
同様のケースとして宇部丸善ポリエチレンがある。
宇部興産は2001年10月にグランドポリマーの持分を三井化学に譲渡しPP事業から撤退したが、新聞報道では丸善石化コンビナートに197千トンの能力を持つPE事業についても2003年までに撤退する方針を決め、事業売却の検討に入ったと伝えられた。
しかしながら、京葉モノマーのVCMと同様、宇部のPEプラントが停止するとエチレンの操業に支障を生じる丸善石化の提案により、丸善石化のエチレンとの一体運営を行うこととし、宇部はPE事業を分離して宇部丸善ポリエチレンを設立し、その50%を丸善石化に譲渡し、JVとした。2004年10月に営業開始した。
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新日鉄化学大分製造所のスチレンモノマーは2系列で、No.2設備が19万トン、No.3設備が23万トン、合計 42万トンとなっている。
No.2設備は当初から新日鉄化学の設備であるが、No.3設備は日本スチレンモノマーの設備として建設された。
日本スチレンモノマーは1988年に新日鉄化学65%、新大協和石化35%のJVとして設立された。
その後、1990年に東ソーが新大協和石化を吸収したため、新日鉄化学と東ソーのJVとなった。
1992年に昭和電工がこれに参加したが、1994年に撤退している。今回、再度、株主になることとなる。
昭和電工は以前から住友化学とのポリスチレンのJVの日本ポリスチレン工業(NPS)に参加していたが、原料SMの確保のため、日本スチレンモノマーに出資した。
しかし、同社は1994年にPS事業を旭化成に譲渡し、SM事業からも撤退した。
東ソーは四日市のSMを1998年に休止したが、日本スチレンモノマーにはとどまっていた。
しかし、2008年3月末に新日鉄化学がスチレンモノマー事業強化のため、東ソーの持ち株を買い取って100%完全子会社とし、同年4 月に同社の設備等資産を取得し、6月末に同社を解散した。
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