沢井製薬は3月1日、キョーリン製薬に対する経営統合提案を取り下げると発表した。
同社はキョーリンに対し、2月末を期限とする経営統合提案をしていたが、キョーリンは昨年12月に賛同しない旨の回答をし、沢井側の理由説明の要請にも応じなかったため、沢井としては本案に基づく交渉継続は有益でないと判断した。
キョーリンは、事業環境に対する認識及び戦略が合致しないことを理由に、この提案はキョーリンの企業価値及び株主共同の利益の向上に資するものではないとした。
沢井はキョーリンの株式の約4.8%を取得しているが、引き続き株主として、キョーリンの株主価値向上策を見守るとしている。
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沢井の経営統合提案の背景と内容は以下の通り。
背景:
製薬企業の経営が今後ますます困難を極めるものになるとみられるなか、有力な新薬企業と大手のジェネリック医薬品企業の連携こそが、日本の製薬市場が真に求める製薬企業像を実現させる鍵になると考えた。
新薬事業を展開するキョーリンとジェネリックの沢井が経営統合し、両社の経営資源、ノウハウ、競争優位を融合することで、新薬事業とジェネリック事業の『ハイブリッド・ビジネスモデル』を構築することができると考えた。
キョーリンの強み | 沢井の強み |
・類稀なる新薬開発力 ・ジェネリック事業に早期参入を果たした先見性 ・柔軟な経営風土 ・優れた事業展開力 ・医療機関からの絶大なる信頼感 ・患者への高いブランドイメージ |
・ジェネリック市場のマーケット・リーダーとしての存在感 ・広範な疾患領域をカバーする製品ポートフォリオ ・高品質なジェネリック製品の生産能力 ・ローコストオペレーションの実績・ノウハウ ・高い企業モラル ・株式市場からの高い評価 |
統合案:
『対等の精神による経営統合』の精神で、各事業会社を傘下に持つ持株会社方式を念頭におく。
一案 |
統合後の事業展開:
・ | 新薬事業においては、キョーリンの得意領域及びUMN(Unmet medical needs)の高い疾患領域へフォーカスした事業を展開 |
・ | ジェネリック事業においては、新薬事業の販路・ブランドを活用した収益拡大と、来るべき価格競争に向けた優位性の獲得 |
・ | 中長期的には、ハイブリッド型ビジネスモデル構築による業界内プレゼンス確立を軸に、成長分野での新規事業展開、海外医薬品事業への進出を推進し、特色ある企業像を確立 |
期待される相乗効果:
売上拡大: | ・顧客カバー拡大及び重複顧客深耕 ・ブランド強化に伴う採用率向上 |
コスト削減: | ・近接拠点の統廃合 ・調達/物流機能の連携 ・間接コストの最適化 ・製造効率の向上 |
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmに あります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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