エチレンの状況

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石油化学工業協会の高橋恭平会長(昭和電工会長)は3月17日の記者会見で、石化製品の基礎原料となるエチレンについて「生産能力の4分の1が停止状態になっている」と説明した。
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地震の影響で三菱化学の鹿島事業所(茨城県神栖市)の2基、丸善石油化学の千葉工場(千葉県市原市)、JX日鉱日石エネルギーの川崎製造所(川崎市)の計4基の生産設備が止まり、3月以降の生産は大幅に落ち込む見通し。

停止設備能力は定修実施年ベースで1,712千トンで、合計能力7,279千トンの23.5%となる。
このうち、早期の復旧が難しい三菱と丸善の両工場の能力は1,308千トンで、全体の18%に相当する。

  三菱化学・鹿島1、2号機(年産能力 828千トン)

製造設備は全て停止、自家発電等も停止。
バースが損傷を受けており、道路の損傷等のため、陸上・海上いずれによる入出荷も困難な状況で、復旧にはかなりの期間が見込まれる。(3/16発表)

付記
バース以外のインフラ関連設備・機器の一部に著しく損傷しているものがあることが判明、プラント稼働再開までには最短でも2か月以上を要する見込み。(3月23日発表)

  丸善石油化学・千葉(480千トン)

隣接するコスモ石油の爆発火災で操業を停止、再開見通しは未定。
(コスモ石油のLPGタンクの火災は3月21日午前10時10分、鎮火を確認した。石油精製設備の再稼働の見通しは立っていない

なお、隣接の京葉エチレン(丸善石油化学/三井化学/住友化学のJV)は操業している。

付記
同社のアルコールケトン製造装置は復旧には最低でも1年間は必要とみられ、その間、メチルエチルケトン(MEK)、セカンダリーブチルアルコール(SBA)、ジイソブチレン(DIB)の出荷を停止する。(4月1日発表)

  JX日鉱日石エネルギー・川崎(404千トン)

地震直後に手動によりエチレンプラントを停止

付記
3月30日に操業を再開した。
設備被害はなく、これまで安全確保のため点検作業を進めていた。

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付記 2011/4/4 エチレンの状況ー2  

鹿島コンビナートには旭硝子や信越化学工業、花王など20社以上がプラントを持っているが、これらの工場が復旧しても三菱化学からの原料供給が遅れれば、生産再開が遅れる懸念がある。

三菱化学では、もうひとつの生産拠点である水島事業所による代替供給も含めて検討している。

その水島事業所のエチレンプラント(450千トン)は5月から定期修理に入る予定である。

このほか、本年は住友化学(千葉 380千トン)、三井化学(千葉 553千トン)、出光興産(千葉 374千トン)、東ソー(四日市 493千トン)が定期修理の予定。
(三菱化学の鹿島1、2も予定)

定期修理でエチレン生産能力がさらに低下すれば、生活必需品などの生産にも影響を与えかねないため、石化協の小林喜光副会長(三菱化学社長)は、「プラントの定期修理の延期も含めた超法規的な措置をお願いせざるを得ない事態もあり得る」と述べ、政府に延期を働きかけていく可能性を示唆した。

今後、エチレンの輸出分を削減したり、アジアから手当てする可能性もあり、すでにアジア市況が上がり始めるなどの影響も出ている。

なお、エチレンの2月の生産量は596,600トンで、設備稼働率は95.7%。稼働率は90%台を22カ月連続で維持した。


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