新華社(3月24日)によると、中国財政省はレアアースを生産する企業に課す資源税の税額を4月1日から引き上げ、中・重希土類を1トン当たり30元(約370円)、軽希土類を60元(約740円)にすることを決めた。
現在は一般の非鉄金属として課税を受けており、税額は1トンあたり0.5~3元であるため、10倍以上の大幅な増税となる。
中国政府は環境保護や資源枯渇の懸念を理由に、レアアースの生産や輸出を大幅に絞り込んでいる。採掘・生産を大手国有企業に集約する計画も進めており、課税強化には中小業者の退出を促す狙いもありそうだ。
レアアース生産大手、内蒙古包鋼稀土高科技の幹部は、増税で今年の同社の生産コストは1.1億ドル程度上昇するとの見通しを示した。
同社によると、レアアース価格は2月以降、大幅にアップしており(Neodymiumの場合、昨年末の30万元/トンが3月後半には倍の60万元)、値上がりがコストアップをカバーするとしている。
中国政府は増税分を、レアアースの加工、用途の技術開発や、環境補償基金の設定、レアアースの備蓄などに使用する。
資源税の増税は中国政府のレアアース産業の高度化の方策の一つ。
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中国商務部は2010年の12月28日に、2011年上期のレアアースの輸出許可枠を発表した。
それによると、上期の輸出許可枠は14,446トンで、前年同期比で35%の減となる。
2010/12/29 中国商務部、2011年上期のレアアース輸出許可枠を発表
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環境保護部は3月初めに、「希土(レアアース)工業汚染物排出基準」を公布、10月1日から施行する。
基準はレアアース産業参入のハードルを効果的に高め、レアアース業界の持続的かつ健全な発展を促すとみられる。
これまでの過度な開発により、中国のレアアース資源備蓄量は急速に減少、レアアース生産過程における環境汚染問題が日増しに浮き彫りになっている。
レアアース産業に特化した汚染物排出標準がなかったため、生産過程で排出される特殊な汚染物はこれまで有効な抑制がされていなかった。
今回の「排出基準」ではレアアース関連企業の生産技術、生産設備の特徴、および添加材料の成分に基づき、レアアース関連企業の生産過程で排出される主な汚染物を抑制項目とし、レアアース業界の排水・排気・放射性物質の排出抑制などが明確に規定された。
企業による希釈排出を防ぐため、基準はさらに製品あたりの基準排水量・基準排気量も定めている。
基準は中国国内のレアアース鉱山で採掘し、希土類金属・合金を生産する各種規模のレアアース特有の生産技術・装置からの排水・排気汚染物排出管理、さらにレアアース産業建設プロジェクトの環境アセスメント・設計・竣工検収にも適用される。
既存企業については2年の猶予期間を設けた後、同じく基準制限値を守ることが義務付けられる。
これにより、中小の企業を追い出したり、大企業と合併させることを狙っている。
内蒙古包鋼稀土高科技では、今後の5年間で五大製品のシェアを著しくアップさせると述べている。
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商務部の陳徳銘部長は3月7日、中国政府は、非常に大きな環境圧力に直面しており、レアアースの採掘、加工および国内での使用、輸出に対するの減量制限策をうち出すことを決定したと述べた。
国内での使用と輸出とを同等に扱うとし、理解を求めた。
また、国務院の要求に基づいてレアアースの総合的な産業政策を改善するにはどのようにすればよいか、現在検討中であることを明らかにした。
「より望むことは、日本など一連の国と共同でレアアースの代替原料を研究することだ。地球上のレアアース資源には限界があり、今のペースで使用すれば、何年もしないうちに枯渇してしまう。レアアースの循環型利用の方法や代替原料をぜひとも見つけなければならず、この方面で共同研究を行うことを願っている」と述べた。
付記
中国の国土資源省は3月31日、2011年のレアアース(希土類)の国内採掘量を93,800トン以下に抑える目標を決めた。
前年の目標に比べ5.16%増となる。
内訳は、軽希土類が80,400トン、中・重希土類が13,400トンとなっている。
国土資源部はまた、レアアース、タングステン、アンチモンの新しい探査及び採掘申請は2012年6月30日まで受け付けないとしている。
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