住友軽金属は4月4日、古河スカイ、住友商事、伊藤忠商事、伊藤忠メタルズとともに、BPからアルミ板圧延品メーカーのARCO Aluminumの全株式を譲り受けることに合意したと発表した。
ARCO Aluminumは飲料缶用のアルミシート(缶材)のメーカーで、生産量は年間約30万トン、北米缶材市場でのシェアは15%となっている。
ARCO Aluminumは、アルミ缶材に特化した製造を行っている世界最大級のアルミニウム板圧延工場であるLogan Millの資産の45%の持分を所有している。(運営会社のLogan Aluminum Inc.については60%の出資持分)
Logan Millの残りはNovelisが所有し、ARCO AluminumとNovelisはそれぞれ、原材料をLogan Mill に供給し、各々の製品を販売している。
住友軽金属と他4社は、共同持株会社のARROW Aluminum Holding Inc.を設立し、ARCO Aluminum株式を680百万ドルで取得し、経営参加と技術提供を通じて、アルミ缶材の世界最大市場である北米での製造販売に取り組む。
買収後の運営形態は以下の通りとなる。
ARCO Aluminumと取引のあった住友商事にBPから株式売却の打診があった。
住友軽金属では、北米地域における世界最大級のアルミニウム板圧延工場に対する経営参画で資金面の負担が重いため、単独ではなく、他4社との共同で取り組むこととしたとしている。
古河スカイは2003年10月に古河電工とスカイアルミニウムがアルミ事業を統合して設立した。
(スカイアルミは1964年に昭和電工と八幡製鉄、米カイザーアルミナムの合弁で設立、カイザーは1973年に撤退)住友商事は古河スカイの缶材を輸出しており、住友商事が声をかけたという。
住友軽金属ではケースバイケースでどこと組むか決めるとしている。
同社は本件について以下のメリットをあげている。
販売面のメリット
・アルミ缶材の世界最大市場である北米での製造・販売
・今後大きな伸びが見込まれる中南米市場への販売拡大
⇒ 今後拡大する世界飲料缶市場に対してグローバル供給体制構築の実現へ
製造・技術面のメリット
・日本・北米それぞれの長所を活用したシナジー効果
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Logan Millsの歴史は以下の通り。
1981年にAtlantic Richfield がLogan Millsの建設を開始、1984年に操業を開始した。
その後、Atlantic Richfieldは1985年にアルミ関連事業をAlcan に売却した。
しかし、独禁法の点でLogan Millsの売却の認可を取得できず、Logan MillsはAtlantic Richfield 子会社(その後、ARCO Aluminumと改称)とAlcanの合弁事業となった。
2000年にBPがAtlantic Richfieldを買収した。
2005年にNovelisがAlcanからスピンオフした。
この結果、Logan MillsはBP子会社のARCO AluminumとNovelisの共同事業となった。
Novelisはアルミ圧延の世界のリーダーで、世界のアルミ板圧延品の20%のシェアを有している。
欧州と南米では1位、北米とアジアでは2位のメーカー。
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BPにとっては本事業は非中核事業であり、売却は2011年末までに300億ドルを売却するという方針の一環である。
本売却を含め、これまでの売却金額は240億ドルに達している。
2010/12/1 BP、アルゼンチンのPan American Energy の持株をBridas Corporationに売却 参照
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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