日本触媒は3月31日、インドネシアで総額3億ドルを投じ、アクリル酸と高吸水性樹脂を増設すると発表した。
同社は紙おむつの原料として需要が伸びている高吸水性樹脂について、昨年7月にインドネシアのPT. Nippon Shokubai Indonesiaで30千トンのプラント建設を決めたが、需要が予想を超えた伸びを示し、このプラント稼働後すぐに供給不足となる見込みのため、新設計画の規模拡大を決めたもの。
ジャカルタの西方のCilegonにあるPT. Nippon Shokubai Indonesiaでは、現在、60千トンのアクリル酸を生産している。
今回、このアクリル酸を80千トン増やし、140千トンとする。
高吸水性樹脂については、昨年7月に決めた30千トンを含め、90千トンを新設する。
投資額は合計で約3億ドル。
PT.Nippon Shokubai Indonesiaは旧称 PT Nisshoku Tripolyta Acrylindoで、日本触媒 50%、トーメン 5%、PT Tri Polyta Indonesia 45%で設立された。その後、Tri Polytaが撤退、現在は日本触媒 93.7%出資となっている。
これが完成すると、日本触媒の全世界能力は、アクリル酸で700千トン、高吸水性樹脂は560千トンとなる。
日本触媒の現状と計画は下記の通り。(千トン)
アクリル酸 | SAP | |||
現状 | 計画 | 現状 | 計画 | |
日本 | 460 | 320 | ||
US | 60 | 60 | ||
ベルギー | 60 | |||
インドネシア | 60 | 80 | 90 | |
シンガポール | 40 | |||
中国 | 30 | |||
Total | 620 | 80 | 470 | 90 |
700 | 560 |
2007/8/31 日本触媒 アクリル酸工場再編 参照
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世界の主要アクリル酸メーカーは以下の通り。
(グラフは日本触媒の発表のもので、本記事の数量と若干異なるものがある。)
B社はBASF、C社はDow、D社はArkema(元 Atofina)と思われる。
BASFの能力は119万トンとなっている。
2011/4/5の記事参照
2006年末の能力で3位のRohm & Haasは4位のDowに買収された。
FTCによる買収承認条件に従い、Dowは2009年8月にClear Lake のアクリル酸、エステル工場などをArkemaに売却した。
2009/1/26 FTC、Dow と Rohm and Haas の統合を条件付で承認
ArkemaはフランスのCarling、Texas州 BayportとClear Lakeの3か所に工場を持つ。
Carlingの能力は240千トンであったが、15%の増強を行った。(→275千トン)
Bayport は日触との50/50JV American Acryl で、同社の持分は60千トン。
Clear Lakeは上記の通り、Dowから取得したもの。
同社の2010年11月発表では、Clear Lakeの能力を2013年に270千トンに増強する。
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世界の主要SAPメーカーは以下の通り。
B社はEvonik(元 Degussa:406千トンとされる)、C社はBASF(400千トン)、D社は住友精化(190千トン)、E社はサンダイヤポリマー(三洋化成工業 60%/三菱化学 40%:145千トン)と思われる。
BASFによると、BASFの2010年末の能力は400千トンで、ベルギーのAntwerpと米国のFreeportのプラントをデボトルネッキングなどで2012年までにそれぞれ35千トン増強し、同社の合計能力を年産470千トンとする。
2010/12/22 BASF、高吸水性樹脂を増強
日本触媒はインドネシアの2系列完成で560千トンとなり、首位を維持するが、BASFも更にブラジルやマレーシアでの新設を検討している。
2011年4月 5日
BASF、ブラジルでアクリル酸~高吸水性樹脂のコンプレックス構想、マレーシアでも高吸水性樹脂のFS
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各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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