大日本住友製薬と武田薬品工業、抗精神病薬で提携

| コメント(0)

大日本住友製薬と武田薬品工業は、3月30日、大日本住友製薬が創製した非定型抗精神病薬「ルラシドン塩酸塩」(ルラシドン)の統合失調症、双極性障害を適応症とする経口製剤について、英国を除く欧州各国を対象国とした共同開発・独占的販売契約を締結したと発表した。

契約の概要は以下の通り。

契約対象国は、英国を除くEU加盟国26カ国およびスイス、ノルウェー、トルコ、ロシア。

契約対象国での販売は武田薬品が独占的に行い、大日本住友製薬は英国での販売を目指す。

武田薬品は大日本住友製薬に、契約一時金として100 億円を支払う。
また、統合失調症、双極性障害を効能とした申請・承認時のマイルストンとして最大約180百万米ドルを支払う。

販売後は、大日本住友製薬は武田薬品に製剤を供給し、武田薬品は販売額に応じたロイヤリティを支払う。
対象国での承認取得に必要な開発費用のうち今後発生するものは、両社で一定の割合で按分する。

両社は今後、大日本住友製薬がこれまでに実施したグローバル試験のデータをベースに対象国での共同開発を進める。

大日本住友製薬は、ルラシドンを海外進出の足がかりと位置づけ、グローバル開発を進めてきた。

2011年の米国上市に向け、自社による販売拠点構築も視野に入れた米国自販体制の整備を検討してきたが、2009年10月、北米市場で中枢神経・呼吸器領域の開業医・専門医をカバーするSepracorを総額約26 億米ドルで買収した。

Sepracorは、中枢神経領域、呼吸器領域等に特化した特徴ある事業を展開する製薬会社で、米国市場においては、睡眠導入剤「LUNESTA」をはじめとする製品を保有し、開業医から専門医までをカバーする強固な販売網を有している。
大日本住友製薬は、本買収により、米国における販売体制を整備し、ルラシドンの速やかな市場浸透、早期の売上最大化を図ることとした。

大日本住友製薬の20113月期予想は、買収に伴う特許権、ノレン代償却で大幅減益となる。
  2010/5/12 
注目企業の決算-3 住友化学の項を参照

なお、今回の契約一時金100億円を2011年3月期に計上するため、業績予想の修正を行った。

ルラシドンは2010年10月に米国食品医薬品局(FDA)から成人の統合失調症治療薬として承認され、本年2月にSunovion Pharmaceuticals (2010年10月にSepracor Inc.を改称)が米国で発売している。

同社は欧州については提携を中心に検討を進めてきた。

今回、欧州主要国に販売網を有し、中枢神経領域を重点疾患領域の一つとして位置付け、ルラシドンの製品価値を評価した武田薬品と提携することとした。


目次、項目別目次

 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


コメントする

月別 アーカイブ