売上高は前期を下回ったが、営業損益、経常損益は増益となった。
特別損失として水俣病被害者救済一時金439億円を計上したため、当期損益は263億円の損失となった。
これにより、2011年3月末の未処理損失は1,299億円(前期末は1,034億円)となり、資本金78億円に対し、資本勘定の残高は1,083億円のマイナスとなった。
単位:億円 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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特別損失の内訳は以下の通り(単位:百万円)
2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 水俣病被害者救済一時金
(熊本県、鹿児島県分 一時金)
(訴訟和解金)43,870
(34,599)
(9,271)水俣病補償関係
(うち補償金、残りは金利)3,993 3,736 3,665
( 2,300)3,658
( 2,232)公害防止事業費負担金 824 775 640 543 災害損失 1,623 その他 156 994 415 972 計 4,974 5,505 4720 50,666 今後、引き続き一時金の支払いが見込まれるが、具体的な金額は不明。
参考 2010/9/9 水俣病未認定患者救済で、チッソへの貸し付けを閣議決定
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チッソは、環境大臣より2010年12月15日付で認可を受けた事業再編計画に基づき、2011年3月31日をもって、機能材料分野、化学品分野、加工品分野等において営む事業を完全子会社のJNCに譲渡した。
2011/1/12 チッソ、「事業再編計画」に基づく、新会社「JNC株式会社」を設立
今後はJNCが事業を行い、チッソはJNCからの配当で水俣病関連の費用を支払う。
2012/3月期の予想は以下の通り。
JNC
(連結)売上高 2,450億円、 経常利益 254億円、 当期純利益 240億円
(個別)売上高 1,450億円、 経常利益 165億円、 当期純利益 168億円チッソ
JNCからの受取配当収入 80億円
水俣病関連支払額 未定
チッソは5月12日、新体制を発表した。
後藤舜吉会長→取締役最高顧問
岡田俊一社長→退任
森田美智男取締役→代表取締役社長
後藤会長の記者会見での応答。
ー チッソから事業譲渡された子会社JNC株の売却後、チッソが消滅する不安が患者にはある。
チッソは事業をやらないわけだから、水俣病問題が片付けば置いておく意味はない。
(JNC株の)上場後に消滅するというのではなく、上場後も水俣病問題が残っている場合もあるかもしれない。ー 株を売った後の収益は限りがある。その後に新たな補償、救済が発生した場合はどう対応する?
ちょっとお答えできない。最善の対応をするとしか言えない。
社長に昇格する森田取締役は「胎児性患者や高齢化する患者のケア充実は国と熊本県と協議しており、しっかり対応する。水俣の経済発展もチッソの役割」と決意を語った。
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