住友化学
前年比では大幅な増収増益だが、2008/3月期の損益レベルには達していない。
(最高益の2007/3月期の営業損益は 1,396億円)
単位:億円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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当初の当期損益予想では、20%出資した豪州農薬メーカー Nufarmの時価が大きく下落したため、のれん相当額を一時償却して特別損失287億円を計上し、25億円の利益としていた。本年に入り、同社の株価が回復したため、評価損を取り消した。
なお、営業外損益に含まれる持分法損益は前年度が70億円の赤字であったが、当期は108億円の利益となり、178億円の損益改善となった。
税引前損益は757億円となったが、繰延税金資産を191億円取り崩して税金に加えたこともあり、税引後は409億円となった。
これから少数株主持分164億円を差し引き、当期損益244億円となった。
なお、2012/3月期で同社及び一部の連結子会社で減価償却方法を定率法から定額法へ変更する予定で、営業利益予想にはこれによる利益250億円が含まれている。
営業損益対比(億円) 全社費用を配賦せず | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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区分そのものはほとんど変わらないが、全社費用(主に全社共通研究費)を配賦せず、「全社」に入れた。
2008/3月期対比では基礎、石化の増益は全社費用配賦の影響がかなり大きい。
情報電子化学は実質的にも大増益。
医薬品については下記参照。
大日本住友製薬の実績は以下の通り。
単位:億円 (配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当 特許権等
償却費同左
算入前算入後 中間 期末 2010/3 2,963 -105 461 356 338 210 9 9 2011/3 3,795 -347 657 310 286 168 9 9 前年比 833 -242 195 -47 -52 -42 0 0 2012/3予 3,620 -297 467 170 155 85 9 9 2009年10月に米Sepracor を買収した。(その後 Sunovion Pharmaceuticals と改称)
買収に伴い、特許権(1,197百万ドル)は品目ごとに償却、ノレン(914百万ドル)は20年償却とした。Sunovion Pharmaceuticalsの当期の業績は、上記の償却費を除くと、営業利益で230億円の益となっている。
2011/3月期には武田薬品との間で締結した非定型抗精神病薬の欧州での開発・販売提携に関する契約に基づく契約一時金100億円を売上高、利益に計上している。
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三井化学
同様に、前年比では大幅な増収増益だが、2008/3月期の損益レベルには未達。
特別利益に退職給付引当金戻入額 146億円がある。
2010年4月に退職金・年金給付水準の見直しを行い、給付利率の変更等を実施した。
単位:億円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比(億円) セグメント変更 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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* 変更前後のセグメント区分(筆者編集)は、必ずしも対応していない。 |
石化、基礎化学品はほぼ2008/3月期の損益水準に戻った。
機能材料系統(ウレタン、機能材料、加工品など)が2008/3月期比で減益の理由と思われる。
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各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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