BPは2011年1月14日、ロシアのRosneftとの間でグローバルな戦略的提携で合意したと発表した。
Rosneft はBPの株式5%を購入、見返りにBPはRosneftの株式 9.5%を購入する。
(BPがRosneftに発行する株式の価値は現在の株価で約78億ドルになる。)
両社はロシアの北極海大陸棚にある3つの鉱区を共同で開発する。
2011/1/17 BP、ロシアのRosneft と戦略的提携
この契約の有効期限はBPの要請で1か月延長され、2011年5月16日となっていたが、問題点の決着がつかず、期限切れにより白紙となった。
経緯は以下の通り。
BPはロシアではAlfa Access Renova(AAR)との50/50JVのTNK-BPを持っているが(付記 正しくは一般株主が5%で、BPとAlfa Access Renova group が45%ずつ。)、AARを構成する4人の新興財閥が1月27日、BPとRosneftとの取引がTNK-BPを除外しているのは、BPとTNK-BPの株主協定に違反するとしてロンドンの高等法院(High Court)に訴えた。
AARの株主
Alfa Group ロシアの新興財閥で、ロシア最大の金融産業コングロマリットのひとつ。
Mikhail Fridman と German Khan が50%ずつ保有。Access Industries ロシア生まれの Len Blavatnik が設立し所有する米国の投資会社で、Basellを買収した。 Renova Holding ロシアの長者番付では第5位のViktor Feliksovich Vekselberg (SUALの大株主)のベンチャーキャピタル。
4人は、BPが株主契約に基づき、ロシアではTNK-BPを通して活動することを求めている。
Putin首相と腹心のIgor Sechin副首相がバックアップする取引への公然とした挑戦であるとして注目された。
2月1日、裁判所は調停での問題解決を命じた。BPは同日、調停にかけることを発表した。
調停委員会は2011年5月1日、下記の決定を下した。
・TNK-BPは Rosneft の同意を前提に、北極海開発に参加する。
・これを条件に、BPとRosneftの株交換を認める。
但し、株交換は投資目的に限られ、議決権は独立の受託者に供託、双方は役員を派遣しない。
これに対しRosneft はTNK-BPの北極大陸棚での事業参加には難色を示した。
このため、AARが保有するTNK-BP株のBPと Rosneft による買い取りを軸に和解交渉が進められた。
報道によると、BPは買い取り価格を当初の200億ドル台後半から320億ドルにまで歩み寄ったが、AARはこれを拒否した。
この結果、時間切れでBPとRosneftの契約は白紙となった。
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BPとAARは5月17日、今後もTNK-BPの成功のため、努力を強めるとの声明を発表した。
両社ともRosneftとの話し合いを続けることが重要との認識を示した。
しかし、RosneftがBPの代わりにShellとExxonと話をしていると述べたとの報道もある。
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