DuPontは5月16日、Daniscoの1株700DKKでのTOBが成功裏に完了したと発表した。買収額は64.9億ドルとなる。
5月13日にTOBを終了し、発行済み株式の92.2%が応募した。
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DuPontは1月9日、デンマークの食品用酵素や素材のメーカーのDaniscoを現金58億ドル(1株DKK 665)と5億ドルの債務引き受けの合計63億ドルで買収する提案を行ったと発表した。
この買収により、工業用バイオ技術のリーダーになるとした。
2011/1/19 DuPont、Daniscoを買収へ
DuPontは1月21日にTOBを開始した。
合併の独禁法審査は、4月15日の中国商務部の承認ですべて完了した。
しかし、このTOBに反対してきた米ヘッジファンドのElliott AssociatesがDanisco株の買い増しを行い、持株率を5%から10.2%とし、年金基金ATPの5.1%を抜いて最大株主となった。
これにより、DuPontの買収計画は暗礁に乗り上げたかと思われた。
DuPontは4月29日に以下の発表を行った。
・買収価格を従来の1株DKK 665からDKK 700に引き上げる。
・TOB期間を5月13日に延長
・買収最低株数を従来の90%から80%に引き下げる。
買収提案価格の引き上げで、Danisco役員会とデンマークの年金基金ATPやElliott Associatesなど広範な株主が買収賛成に回った。
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DuPontのEllen Kullman会長兼CEOは、「Daniscoの食品添加剤事業と工業用酵素事業(Genencor部門)のDuPontへの統合は、Dupont自体のNutrition & Health、Applied BioSciences部門と相補い、工業用バイオサイエンス、栄養、健康分野で業界のリーダーになれる」と述べた。
DuPontとGenencorは1995年に、コーンスターチからBio-PDO(プロパンジオール)を生産する発酵生体触媒を開発する目的で提携した。DuPontはテネシー州にあるDuPont Tate & Lyle Bio ProductsでBio-PDOの商業生産を行っている。
DuPontとGenencorは2008年に50/50 JVのDuPont Danisco Cellulosic Ethanol LLC を設立した。
次世代バイオ燃料であるセルロース系エタノールの生産に取り組むもので、まずトウモロコシの茎や芯とサトウキビバガスを原材料とする。将来は、麦わら、様々なエネルギー作物、他のバイオマスを含む多数のリグノセルロース系原料をターゲットとする。DuPont Danisco Cellulosic Ethanol LLCは2010年2月にテネシー州Vonoreでセルロース系エタノール実証施設の開所式を行った。
2010/2/10 DuPont、セルロース系エタノールの高性能生産施設をオープン
DuPontは5月19日、Danisco統合の組織改編を発表した。
新組織 | 売上高 | 従来組織 | |
DuPont | Danisco | ||
Industrial Biosciences | $1 billion | Applied BioSciences | Genencor enzyme |
Nutritional & Health | $3 billion | Nutrition & Health | Food Ingredients |
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