味の素は4月26日、飼料用アミノ酸事業会社を発足させると発表した。
グローバルでダイナミックな環境の変化に対するセンスを高め、機動的な意思決定と効率的な事業運営体制を実現させ、競争体制の強化に注力する。
同社の飼料用アミノ酸事業は40年以上の歴史を持ち、主要製品のリジン、スレオニン、トリプトファンの製品分野では常にリーダーとして現在に至っている。
今後、長期的には飼料用アミノ酸に加えてより広く動物栄養の分野にも事業成長の機会を求める。
9月1日に新設する子会社は味の素アニマル・ニュ-トリション・グループ(Ajinomoto Animal Nutrition Group)。
11月1日をめどに、飼料用アミノ酸事業の一部と、味の素ハートランド社(米国)、味の素ユーロリジン社(フランス)の株式所有を通じた統括・管理に関する事業を譲り受ける。
生産拠点は以下の通り。
能力 (千トン) | |||||
リジン | スレオニン | トリプトファン | |||
フランス | 味の素ユーロリジン AJINOMOTO EUROLYSINE S.A.S. |
1974年設立
|
125 | 35 | 2.8 |
イタリア | 味の素ビオイタリア AJINOMOTO BIOITALIA S.p.A. |
1990年設立 | 30 | ||
米国 | 味の素ハートランドLLC Ajinomoto Heartland LLC |
1984/10設立
|
50 | 20 | |
タイ | タイ味の素 Ajinomoto Co., (Thailand) Ltd. |
1960年設立 味の素 74.3% |
50 | ||
中国 | 川化味の素 Chuanhua Ajinomoto Co., Ltd. |
川化集団とのJV (味の素 70%) |
32 | ||
委託 内蒙古阜豊生物科技 Inner Mongolia Fufeng Bio-technological |
阜豊の飼料用アミノ酸・ スレオニンの全量 |
||||
ブラジル | 味の素ビオラティーナ Ajinomoto Biolatina Industria e Comercio Ltda. |
1975年設立 | 125 |
同社は最近の能力を発表しておらず、上記能力は若干古いもの。
2005年6月の発表では、2010年度までに、リジン50万トン(シェア35%強)、スレオニン14万トン(シェア70%強)、トリプトファン5千トン(シェア80%強)へ拡大する予定としている。
同社の本事業の取り組みは以下の通り。
飼料添加物リジンについては、1980年代後半には味の素、協和発酵、韓国のSewonの3社が世界の生産の95%を占めていた。
Archer Daniels Midlandは原料のdextroseの大メーカーで、1991年にリジン生産に進出し、急激にシェアを伸ばした。
同年、韓国のCheil Jedang(第一精糖)も生産を開始した。
(Sewon はその後、Miwon Foodsと合併し、Desang Corporationとなった)
各社によるカルテルについては 2010/1/12 映画 The Informant 参照
協和発酵(現協和発酵キリン)はその後、飼料用アミノ酸の製造設備を大幅に削減し、機能性食品や医薬品中間体など付加価値の高いアミノ酸事業を強化する方針に変更、グループ最大の製造拠点であるメキシコ子会社を2004年に解散した。
協和発酵は2008年10月1日にキリンファーマは合併し、協和発酵キリンとなった。
協和発酵の協和発酵フーズはキリンホールディングス子会社のキリン協和フーズに、バイオケミカル事業は協和発酵キリン子会社の協和発酵バイオに、その他事業(アルコール群並びに含酸素系溶剤群、合成脂肪酸、高級アルコール、特殊ジオール、高機能性高分子材料など)は同じく協和発酵キリン子会社の協和発酵ケミカルとなった。アミノ酸事業は協和発酵バイオに属する。
協和発酵ケミカルは2011年3月31日に日本産業パートナーズに売却され、協和発酵キリングループから独立した。
2010/10/27 協和発酵キリン、子会社の協和発酵ケミカル売却で合意
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