中国の衛生部(Ministry of Health)を含む6つの部門はこのほど通知を発表し、ポリカーボネート製哺乳瓶、ビスフェノールAを含むその他の哺乳瓶の生産を6月1日より禁止し、輸入と販売を9月1日より禁止することを明らかにした。
哺乳瓶メーカーと輸入業者はこれらの製品を回収しなければならず、回収した製品を再生して包材、コンテナー、工具などを生産してはならない。
哺乳瓶以外の食品包装資材、容器、塗料にビスフェノールAを使用することは許可されるが、その量は食品安全に関する国家基準の定める規定量を守らなければならない。
ビスフェノールAはポリカーボネート、エポキシ樹脂など様々な高分子材料の原料である。
食品用容器の場合、加熱すると食物や飲料の中に溶出し、人の代謝や幼児の発育・免疫力に影響を与えるのではないかと懸念されている。近年、動物の胎児や産仔に対し、これまでの毒性試験では有害な影響が認められなかった量より、極めて低い用量の投与により影響が認められたことが報告された。
日本では厚生労働省は、動物でのビスフェノールAの低用量影響の問題を受けて、新たな対策が必要かどうか検討するため、ビスフェノールAの低用量曝露がヒトの健康に及ぼす影響について、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼し、その結果を基に食品衛生法における規制の見直しなどの必要な対応を行うこととしている。
また、リスク評価を経るまでもなく、公衆衛生の見地からは、ビスフェノールAの曝露をできる限り減らすことが適当であり、関係事業者に対して製品の更なる技術改良を行う等、自主的な取組を更に推進していくように要請しており、「ビスフェノールAについてのQ&A」を出している。
妊娠している人や乳幼児を育てている人は、このQ&Aを食生活や授乳に役立てて欲しいとしている。
これには各国の対応なども記されている。
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カナダ保健省は2008年4月、低用量でのビスフェノールAの乳幼児(主に18ヶ月未満の)への影響を考慮し、予防的アプローチとして、ビスフェノールAを含むプラスチック製哺乳瓶について近い将来、輸入、販売、および広告を禁じる方針を打ち出した。
同年10月にはポリカーボネート製のほ乳びんの輸入及び販売等の禁止と乳児用の調製乳に使用されている缶の内面塗装からビスフェノールAの溶出を可能な限り減らす指針を策定する等のリスク管理案が公表された。
カナダ政府は2010年10月、正式にビスフェノールAが有害物質であると宣言した。
http://www.nytimes.com/2010/10/14/world/americas/14bpa.html
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EUは本年2月25日の指令(IP/11/229)で、3月1日からビスフェノールAを含む哺乳瓶のEU域内での製造を禁止した。
1月に採択されたEU指令により、6月1日からはEU市場での販売とEU域内への輸入も禁止される。
業界では自主的に市場から回収し、他の製品に切り替えつつあり、2011年央に完了する見込みとなっている。
2010年3月にデンマーク政府が、三歳までの子供が使う食品容器の製造にビスフェノールAの使用を一時的に禁止し、欧州委員会はEuropean Food Safety Authority (EFSA) に対し、禁止の根拠の評価を要請した。
2010年7月にはフランスが一時的に製造、輸入、輸出、上市を禁止した。
EFSAは2010年9月に意見を出したが、幼児への影響については更なるデータが出るまでは注意が必要とした。
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