福島原発、汚染水浄化装置

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東京電力は6月14日、福島第1原発で放射性物質を高濃度に含む汚染水を浄化するシステムの一部の試運転を始めた。

水漏れや流量不足が見つかったが、その後の補修や点検で改善した。

先ず、放射性セシウムなどを取り除く米 Kurion社の装置で動作を確認したところ、セシウムの量を最大3300分の1にできた。

15日午後からストロンチウムなどを処理するフランスのAreva製の装置に低濃度の汚染水を流し、性能をチェックする。
次にKurionの装置と組み合わせた最終試験も実施し、高濃度汚染水の処理を17日から行う。

すべての装置が順調に動けば、1日1,200トンの高濃度汚染水を流して浄化、放射線物質の濃度を1000分の1から1万分の1まで下げられるという。

6月末~7月初めには原子炉の冷却水として再利用する「循環注水冷却」を始める。

高濃度汚染水はタービン建屋などに10万トン以上たまっており、日々増え続けている。来年3月末までに計25万トンを処理する計画。

費用は年末までに合計で531億円となる。

汚染水浄化装置の概要は以下の通り。

1.油分離装置 (東芝)  

滞留水に含まれる油分及びスラッジを自然浮上分離により除去する。

2.セシウム吸着塔 (米 Kurion社)

3種類の吸着剤を装填した吸着塔で放射性セシウムやヨウ素を除去する。

Kurionが独占権を持つ無機吸着媒体 "Ion Specific Media"によって水から放射性物質を取り除き、ガラス固化により容量を減らして永久的に固定化する。
これは、スリーマイル島原子力発電所における汚染水除去の手法を改良したもの。

他の基材の場合は海水ではうまく機能しないが、これは、pH、海水、表面活性剤に対してほとんど問題なく利用できるという。

Kurion社は3月29日にこの媒体の供給が可能なことを発表、東電が交渉して決定した。
決定後、わずか5週間で主要機器と媒体が到着した。

Kurion発表 http://www.businesswire.com/news/home/20110606005809/ja/

Kurion社は2008年創業で、名前は Marie Curie からのKur Ion を合わせた造語。

3.除染装置 (仏 Areva社)

汚染水を攪拌しながら特殊な薬剤を注入、沈殿を生成させて浄化された上澄みを抜き取る。
セシウムのほかストロンチウムなどを砂に吸着させる。

4.淡水化装置

海水の塩分を除去(①逆浸透膜、②蒸発濃縮)

 ②は8月及び10月に稼働の予定。

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東電ではこの処理で発生する汚泥の1cm3あたり1億ベクレルという高濃度の放射性廃棄物が2000m3(ドラム缶1万本)発生するとみている。
そこに含まれる放射性物質は20京ベクレルに達する。

この高濃度放射性廃棄物は、一時的に敷地内に保管する計画は示されているが、最終処分までの道筋は未定となっている。

現行の原子炉等規制法では今回の廃棄物を処理するための規定がなく、保安院は専門家の意見を聞きながら基準作りを進める。 


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