SABICは6月15日、イタリアのMontefibreとの間でカーボンファイバーの技術導入契約を締結したと発表した。
SABIC及び全世界の子会社で技術を使用できるが、まず、サウジに建設するカーボンファイバー工場に適用する。
両社はまた、Montefibreのスペインの既存のアクリル繊維製造工場に隣接して、新しくカーボンファイバー工場を建設するFSを実施する覚書も締結した。これによりサウジプラントの製品開発を早め、需要家に先行販売を行うもの。
サウジの計画は能力は年産3,000トンで、中東及び国際市場での販売を目指す。
SABICは2009年にSipchemとの間で新プロジェクトでの相互協力覚書を締結したが、その中に、この計画が含まれている。
その後、MMA関連については三菱レイヨンと、アクリロニトリルについては旭化成と契約を締結している。
SABICの計画:投資額 32億ドル
MMA 250千トン 三菱レイヨンとJV Saudi Methacrylates Company PMMA 30千トン アクリロニトリル 200千トン 旭化成とJV Saudi Japanese Acrylonitrile Company 青酸ソーダ 40千トン ポリアクリロニトリル 50千トン ポリアセタール 50千トン カーボンファイバー 3千トン
2009/5/11 サウジのSABICとSipchem、新プロジェクトで相互協力の覚書
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Montefibreは1972年にMontedison の繊維関連企業を統合して設立された。
その後、順次事業を分離し、現在はアクリル繊維のみを扱っている。
工場は2か所
①スペインの100%子会社Montefibre Hispania
年産95千トン
②中国の吉林市 Jilin Qifeng Chemical Fiber (吉林奇峰化繊)との50/50JVのJilin Jimont Acrylic Fiber
年産100千トン
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これとは別に、Dow Chemical が6月6日にトルコのアクリル繊維メーカーのAksa Akrilik Kimya Sanayiiとの間で、カーボンファイバーと誘導品を製造するJV設立の覚書を締結したと発表した。
Aksa のアクリル繊維の製造能力は年産308千トンで、1プラントでは世界最大。
Aksaは1968年に設立され、トルコのYalova市に1971年に年産5千トンのアクリル繊維プラントを建設、1986年に100千トンに、1997年に200千トンに拡大、2007年に現在の能力に引き上げた。
カーボンファイバーの能力は年産1,500トンで、現在倍増中とされる。
→付記 下記の通り修正
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PAN系炭素繊維では東レ、東邦テナックス、三菱レイヨンの3社が海外の拠点を持ち、世界市場のほとんどを押さえている。
現在の能力
東レ 17,900トン 東邦テナックス 13,500トン 三菱レイヨン 8,150トン 3社 計 39,550トン 2006/9/9 炭素繊維
なお、東レは2011年1月に、韓国で年産2,200トンの量産工場を建設し、2013年に稼働すると発表している。
これに対し、韓国の暁星は6月14日、韓国企業で初めて炭素繊維の開発に成功したと発表した。
2013年までに2500億ウォン(約186億円)を投じ、全羅北道全州市の親環境複合産業団地に年産2,000トン規模の炭素繊維工場を建設する。
2020年までに総額1兆2000億ウォンを投じ、年産17,000トンを確保する計画という。
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