南スーダン独立と石油問題

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2011年7月9日、南スーダン共和国:Republic of South Sudanが分離・独立した。首都はジュバ(Juba)。
アフリカ大陸では
54番目の国。
国連は7月14日、国連加盟を承認した。
193番目の国となる。

22年間続いた南北間の対立が「南北包括和平合意(CPA:Comprehensive Peace Agreement)」によって終わり、1月に行われた国民投票の結果、南部が独立することが決まった。

2011/2/12 スーダンと中国

しかし、まだ多くの問題が未解決で、南北スーダン間で継続交渉中である。

1)Abyei暫定統治地域

南北の境界付近にあり石油資源が豊富なAbyeiでも住民投票が行われる予定だったが、南北が対立し、投票は無期限延期された。
CPAでは特別地域とされ、南北双方の軍の侵入が禁じられている。

北部政府軍は5月21日、Abyeiに進攻し、南部のスーダン人民解放軍との激しい戦闘の末、同地を掌握した。
国連安全保障理事会は翌22日、北部政府軍の即時撤退を求める声明を出した。

2)南スーダン産出石油の収益の南北利益配分

南部には油田の4分の3が集中するが、精製施設や輸出港へと続くパイプラインは北部にしかない。

2005年の和平合意に基づき、南北は石油収入を暫定的に折半してきたが、南部独立に際し、北部は引き続き「折半」もしくはそれに相当する「パイプライン使用料」を要求し、支払わなければパイプラインを封鎖するとしている。

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南スーダンからケニアへのパイプライン計画が注目されている。

この計画は2つの計画を結合するものである。
一つは南スーダンの石油の輸出であり、もう一つはウガンダの石油の輸出である。

1)南スーダン石油の輸出

これが完成すると、北スーダンのGreater Nile Oil Pipelineを経由せずに、南スーダンの石油を輸出できるようになる。
南スーダンの首都
JubaからケニアのLamu島までの1400kmのパイプラインで、Lamu島に輸出ターミナルを建設する。

2010年3月の外電は、豊田通商がこれを計画していると報道した。

それによると、能力は日量45万バレルで、建設費は15億ドル、20年後にケニアと南スーダン政府に引き渡されるとされた。

2)ウガンダの石油の輸出

ウガンダではLake Albert Rift Basinで石油が発見されている。

英国の石油・ガス探査会社のTullow Oil PLC331日、ウガンダに保有する鉱区のBlock 123Aの権益の3分の1ずつを中国海洋石油(CNOOC)とフランスのTotalに譲渡すると発表した。売却金額は合計で29.33億ドル。

Tullow Oil PLCHeritage Oil PlcLake Albert Rift Basin鉱区のBlock 1及び3A(埋蔵量合計35億バレル)の権益を50%ずつ保有していたが、20107月にHeritage の権益を買収した。
しかし、開発権の取得に対するキャピタルゲイン課税をめぐってウガンダ政府と折り合いがつかず、
2鉱区の開発は事実上、棚上げとなっていた。

ウガンダ政府は本年に入り、CNOOCTotal2社を参加させることを条件に両鉱区及びBlock 2の開発を認可した。

ウガンダ国内に製油所を建設し石油を供給するが、残りは輸出する予定。

このため、南スーダンからケニア向けのパイプラインに繋ぎ、ウガンダの原油も輸送する構想が生まれた。

 

なおスーダンでは、PetroChinaが油田の権益の40%を獲得し、開発を手掛けており、スーダンの石油の60%が中国に輸出されている。

Greater Nile Oil PipelineにはPetroChinaが40%を出資し、運営を担当している。

2011/2/12 スーダンと中国

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