三井物産、ダウのブラジル・バイオ化学品事業に参画

| コメント(0) | トラックバック(0)

三井物産は720日、Dow全額出資のSanta Vitória Açúcar e Álcool LtdaSVAA)の株式50%を増資引受にて取得すると発表した。
ブラジルでサトウキビ農園運営からバイオポリエチレン等、バイオ化学品製造までの一貫事業を合弁で行う。

ミナスジェイラス州に2013年以降、年産能力24万klのバイオエタノール工場を複数建設する。
2015年にはこのエタノールを原料に年産35万トンの植物樹脂工場を建設する。植物樹脂工場としては世界最大規模。

名称 Santa Vitória Açúcar e Álcool Ltda
Santa Vitória Sugar and Ethanol Inc.)
所在地 ブラジルMinas GeraisSanta Vitória
事業内容 サトウキビ農園運営、化学品原料としてのバイオエタノール製造事業。
バイオエチレン、バイオポリエチレン及びバイオマス資源からの化学品製造販売事業へ順次拡大予定。
出資比率
(出資後)
Dow50%
三井物産:50%
三井投資額 2億米ドル

 

プロジェクト概要

三井物産とDowにとり、これは北米の電解事業に続く戦略的パートナーシップの第2号案件となる。

2010/7/2 三井物産とダウ、合弁でテキサスで電解事業 

ーーー

SVAAの歴史は20077月に遡る。

Dowは2007年7月、ブラジルのバイオエタノール大手のCrystalsev と共同で、ブラジルでサトウキビからワールドクラスのLDPE工場の建設計画を明らかにした。

Crystalsev はサンパウロ州の砂糖とエタノール製造の9社の販売を担当する会社で、エタノールの輸出ではブラジル最大。
Crystalsevの親会社が
Santelisa Valeである。

MOUによれば、両社はブラジルで合弁会社SVAAを設立して、Minas Gerais州のSanta Vitoria 350千トン能力のLDPE工場を建設、2011年に生産を開始する。
DowのPE技術(DOWLEXT法)とCrystalsev のエタノールのノウハウと経験を統合し、Dowのブラジルの需要家に供給、輸出も考えるとした。

2007/7/27 Dow、ブラジルでサトウキビからLDPE製造

しかし、Santelisa Valeの経営が悪化、DowSantelisa Vale20092月、この計画の延期を発表した。

200910月にフランスのコモディティ企業のLouis Dreyfus CommoditiesがSantelisa Vale を買収した。

Louis Dreyfus は自社の子会社のLDC BioenergiaとSantelisa Vale を統合し、新会社LDC-SEVを設立、13の砂糖とエタノールの工場(圧搾能力 40百万トン)を引き継いだ。
Louis Dreyfusが
60%、 Santelisa Vale株主が18%、他出資者が9%、Goldman Sachsと現地銀行が13%を出資する。

20106月に、DowSVAAの旧Santelisa Valeの持分を買収し、100%子会社としたが、Dowにとっては当初の提携相手で原料供給元を失ったこととなる。

このため、単独で農場経営~バイオ化学品事業を行う資金負担、リスクを避けるため、三井物産と提携したと思われる。

 

 

トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/1511

コメントする

月別 アーカイブ