ストレステスト実施へ

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原子力発電所のストレステストについて、経産省原子力安全・保安院は7月21日、実施内容の修正版を原子力安全委員会に報告、了承された。7月15日に報告したが、委員から「わかりにくい」と指摘され修正を求められていた。
   
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan055/siryo1-1.pdf

原子力安全・保安院は、7月22日に、電力各社にストレステストの実施を要請する。

定期検査で停止中の原発が対象となる1次評価では以下の事項について評価を行う。
(3)と(6)が追加された。

(1)地震 ①設計上の想定を超える程度に応じて、建屋、系統、機器等が損傷・機能喪失するか否か
②燃料の重大な損傷に至る事象の過程を同定し、
 クリフエッジ(小さな変動に反応して発電所の状態が突然大きく変動)の所在を評価する。
③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷の進展を防止するための措置
(2)津波 ①設計津波高さを超える程度に応じて、建屋、系統、機器等が損傷・機能喪失するか否か
②クリフエッジの所在を特定
③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷の進展を防止するための措置
(3)地震と津波
  (追加)
同上
(4)全交流電源喪失
①全交流電源喪失による燃料の重大な損傷に至る事象の過程と全交流電源喪失の継続時間
②クリフエッジの所在を特定
③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷の進展を防止するための措置
(5)最終的な熱の逃し場
 (最終ヒートシンク)の喪失
①最終ヒートシンク喪失による燃料の重大な損傷に至る事象の過程と最終ヒートシンク喪失の継続時間
②クリフエッジの所在を特定
③特定されたクリフエッジへの対応を含め、燃料の重大な損傷の進展を防止するための措置
(6)その他のシビア
  アクシデント・
  マネジメント(追加)
事業者が整備しているシビアアクシデント・マネジメント対策
(燃料の重大な損傷を防止するための措置、
放射性物質の大規模な放出を防止するために閉じ込め機能の健全性を維持するための措置)の効果

なお、全原発を対象とする2次評価は上記に加え、「全交流電源喪失と最終ヒートシンクの喪失の複合」を挙げている。

2次評価については、欧州諸国におけるストレステストの実施状況、東京電力福島第一の事故調査・検証委員会の検討状況も踏まえ、必要に応じ、実施事項を修正する。

原子力安全・保安院は、電力会社による評価の提出を受け、その内容を評価する。
評価結果は原子力安全委員会に報告し、同委員会の確認を求める。

これについて、河野太郎議員の「ごまめの歯ぎしりメールマガジン版」(7月22日)は以下の通り述べている。

合否判定はどうするのかという質問に対して、保安院からは、合否判定はしませんという返事。

合否ではなく、それぞれの原発に関してどれだけの安全率、安全裕度があるかを出して、保安院と原子力安全委員会が確認し、その背景を説明し、それを経産、原発担当、官房長官の三人の大臣に提出する。

三大臣がこの結果を見て、それぞれ個別の原発ごとに再稼働を認めるかどうか判断をするという返答。

それを聞いて出席者のストレスレベルは確かに上がった。三大臣が再稼働を認めるかどうかの判断基準はどうなるのか?
 

参考  

  2011/7/7  EUの原発ストレステスト
  2011/7/12  原発の安全性基準に関する「政府統一見解」

 

付記

原子力安全・保安院は7月22日、玄海3号機の耐震安全性評価において、入力データの一部に誤りのあったことが分かったため、九州電力に対し、①正しいデータを用いた評価、②入力データに誤りが発生したことの原因究明、③再発防止対策、④他プラントの入力データについてのチェックを10月末までに報告するよう指示した。
保安院によると、データの誤りは建物内の機器や配管にも影響するため、再計算に約3カ月かかる。

これらはゼネコンの大林組に委託して入力・解析したもので、2008年の中間報告にも含まれていたが保安院は見逃しており、今回、最終報告書を「原子力安全基盤機構」が再点検する中で見つけた。

大林組は少なくとも他の3事業者の8基でデータ解析を請け負っており、他の原子力事業者に対しても、入力データのチェック体制について再点検を行い、結果を8月22日までに報告するよう指示した。

これによりストレステストの実施がずれ込むこととなる。(玄海3号機のストレステストは早くても11月以降になる。)

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